1996 Fiscal Year Annual Research Report
支台歯形成後の仮封処置に う触病巣無菌化療法を導入する試み
Project/Area Number |
08877290
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 正司 新潟大学, 歯学部, 教授 (50014098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 律子 新潟大学, 歯学部, 助手 (40272827)
星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619)
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Keywords | 支台歯形成 / う触病巣無菌化療法 / 混合抗菌剤 / 仮着材 / 暫間被覆冠 |
Research Abstract |
1.目的 う触病巣細菌はメトロニダゾールを中心とする混合抗菌剤で完全に殺菌できることが報告され、歯科保存学領域では既に う触病巣の無菌化に成功している。しかし、この新しいう触病巣無菌化療法を捕綴分野の治療に応用した報告はない。そこで本研究は、抗菌剤を添加した仮着材を暫間被覆冠の仮着に応用し、仮着という短い作用期間で支台歯のう触病巣を殺菌する方法を考案し、補綴治療へ導入することを目的としている。今年度は、本仮着材のう触病巣細菌に対する殺菌効果を新鮮抜去歯を用いて細菌学的に検討した。 2.方法 象牙質に達するう触を有する新鮮抜去歯14歯に対し、う触病巣を残置したまま支台歯形成を行い、暫間被覆冠を製作した。実験群として9歯には混合抗菌剤(Metronidazole,Ciprofloxacin,Cefaclor,各2%w/w)を添加した仮着材を、コントロール群5歯には、抗菌剤を添加しない仮着材を使用して1〜4日間、暫間被覆冠を仮着した。仮着の前後でう触病巣を採取し、細菌数を測定し、殺菌効果を検討した。う触病巣細菌の殆どが偏性嫌気性菌であることから、本研究では、厳密な嫌気条件下での培養を行った。 3.結果 術前試料からは、実験群、コントロール群いずれも10^4〜10^7CFU/mgの多数の細菌が検出された。術後試料からは、コントロール群では細菌数の減少は認められたものの、いずれも10^3CFU/mg以上の細菌が検出された。一方、実験群では、6被験歯で細菌の検出を認めなかった。3被験歯でわずかの細菌が検出されたが、いずれも、本抗菌剤に対し感受性菌であることが確認され、無菌化が可能と考えられた。 4.考察 以上の結果より、混合抗菌剤を添加した仮着材により、新鮮抜去歯のう触病巣細菌をほぼ完全に殺菌できることが明らかになった。現在、本術式を臨床症例に応用し、効果を検討中である。
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