金属と陶材の焼き付けにYAGレーザーを応用するための基礎的研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08877297
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 蟹江 隆人 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70152791)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 井上 勝一朗 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30047790)
• Keywords: レーザー / 陶材焼成 / 表面処理 / 非貴金属合金

Research Abstract

本研究では、陶材焼き付け用合金の表面をレーザーにより改質した場合の表面状態を解明し、その処理面に陶材を焼き付け、結合状態、約付け強度等を測定し、通法の電気炉で焼き付けた場合との比較、検討を行うことを目的とした。本年度は、陶材焼き付け用非貴金属合金の表面をレーザー処理した場合に生成する処理層(改質層)を以下の方法で観察した。(1)処理面を電子顕微鏡で観察した結果、表面部のわずかな荒れと50μm程度の照射痕と見られる溝とが観察された。また、表面をサンドブラストした後、レーザーを照射した試料では照射痕と見られる溝がかなり荒れるのが観察されたが、表面部の荒れは減少した。(2)処理面を表面粗さ計で計測し、10点平均粗さ(Rz)を求めた結果、照射前の資料では、Rz=0.4(μm)であったものが、レーザー照射後はRz=4.1(μm)となり、かなり粗面化していることが判る。また、表面をサンドブラストした試料では、Rz=2.4(μm)のものが、Rz=4.7(μm)になり、両法による表面荒れには大きな差は見られなかった。(3)処理面をビッカース硬度計で計測した結果、照射前の表面硬さは、244.4であったが、照射後は280.6と硬化した。また、サンドブラストした試料は278.6の表面硬さを示したが、レーザー照射後の試料では286.4となり、硬さでも両法間に差は認められなかった。(4)処理面をX線回折で定性分析したが、照射前と照射後ともNi-Cr合金に相当するピークが観察され、変化は見られなかった。このことから、サンドブラストの有無に関わらず、レーザー照射後は類似した表面状態に成っているものと考えられる。次年度は、この面に陶材を焼き付け、結合状態、焼き付け強度等を測定していく予定である。