1996 Fiscal Year Annual Research Report
非電荷型リドカインの合成とその局所麻酔作用の解明に関する研究
Project/Area Number |
08877301
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
國分 正廣 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70124691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 和明 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (80094829)
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Keywords | 非電荷型(中性) / リドカイン誘導体 / 局所麻酔薬 / 作用機序 / NMR(核磁気共鳴装置) / 麻酔作用 |
Research Abstract |
これまでの研究から、局所麻酔薬はその分子中の窒素原子が陽性荷電を有し、神経細胞膜表面で陰性電荷を有する酸素原子との間で静電結合を示し、その結合力が局所麻酔薬としての強さと相関する事が分かっている。 そこで、本研究ではリドカインの基本構造はそのままに、側鎖のエチル基をアセチル基に変えて、アミドとすることで窒素原子のもつ陽性電荷を打ち消したlido Aとリドカインの中間鎖のアミノ基にあるメチレンを除いて尿素型としたlido Bを合成した。このように、その分子中の窒素原子の陽性電荷を可能なかぎり減弱させ、細胞膜と結合しにくい非電荷型(中性)リドカインの誘導体を合成し、その局所麻酔作用について検索を行った。局所麻酔効果の判定は、ウサギの摘出迷走神経に12〜14Vの電気刺激を与え、得られた活動電位の抑制の程度から、局所麻酔効果(作用発現時間、効果持続時間)をリドカインのそれと比較した。また、細胞膜モデルであるリン脂質膜との結合力を核磁気共鳴装置(^1H-NMR)を用いて検索した。この結果、lido Aの最小有効濃度はリドカインの5倍以上で、効果発現までの時間は長く、持続時間は短かった。lido Bは全く局所麻酔作用を示さなかった。また、NMRの結果から非電荷型リドカインのリン脂質膜との結合力はリドカインに比べて弱いことがわかった。 以上のことから、局所麻酔薬分子中の窒素原子の陽性電荷を減弱すると、局所麻酔効果も減弱することは、この窒素原子のもつ陽性荷電が局所麻酔薬作用の発現に必要不可欠である可能性が高いことがわかった。今後はこの窒素原子の陽性荷電をリドカインより強くした局所麻酔薬を合成し、検索して行きたい。
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Research Products
(2 results)