1996 Fiscal Year Annual Research Report
Gabriel反応を利用したフッ素化合物とブロム化合物との分離法の開発
Project/Area Number |
08877314
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 俊博 新潟大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (70143039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 敞 新潟大学, 歯学部, 助手 (10018426)
|
Keywords | フタルイミドカリウム / Gabriel反応 / ブロム化合物 / フッ素化合物 / フタルイミド誘導体 / [F-18]標識薬剤 |
Research Abstract |
本実験においてGabriel反応はSheehanらが報告した改良法(N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を反応溶媒として用い、低温で反応させる方法;J.Am. Chem. Soc. 72,2786-2788(1950))を用いて行った。まずブロム脂肪酸エステル(8-ブロモオクタン酸メチルエステル)(1)とフタルイミドカリウムとの反応をDMF中で行った結果、フタルイミド誘導体(フタルイミドオクタン酸メチルエステル)(2)85-90%の収率で得られた。(反応温度;90℃;反応時間:30-40min.)薄層クロマトグラフィー(TLC)にて関連化合物の分離を検討した結果、薄層:シリカゲル,展開溶媒:クロロホルム・・・の分離条件で原料(1),反応生成物(2)およびβ-フルオロオクタン酸メチルエステルのRf値はそれぞれ0.57,0.35,0.55であった。またブロム脂肪酸(16-ブロモパルミチン酸)についても上記と同様に反応を行ったが得られたのはブロム脂肪酸のフタルイミド塩であった。更にフルオロ脂肪酸エステル(16-ブロモパルミチン酸メチルエステル)とフタルイミドカリウムとの反応では反応は進行せず原料回収であった。 以上の結果よりフタルイミドカリウムはブロム化合物のみに反応することがわかり、ブロム化合物とフルオロ化合物との混合物からブロム化合物のみをフタルイミド化合物に収率良く変換できることが示唆された。またTLCによる検討ではフタルイミド化合物とフルオロ化合物との分離が容易であることがわかった。更に原料にカルボキシル基が存在する場合にはカルボキシル基の保護(エステル化)が必要であることもわかった。 上記の反応を[F-18](短寿命ポジトロン放出核種)標識薬剤開発へ応用するには反応時間の短縮が要求されるため、今後、反応時間と収率との関係を検討していく予定である。
|