1996 Fiscal Year Annual Research Report
毛状根特異的高発現プロモーターを利用した物質生産系の開発
Project/Area Number |
08877317
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
黒柳 正典 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (40117776)
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Keywords | 毛状根 / プロモーター / 物質生産 / 高発現遺伝子 |
Research Abstract |
毛根病菌(Agrobacterium rhizogenes)を感染誘導したナス科ヒヨス(Hyoscyamus niger)の毛状根はホルモンフリー培地で非常に高い増殖性を示す。そこで、この毛状根において特異的に高発現する遺伝子のクローニングを行い、そのプロモーターの毛状根における物質生産系への利用とその遺伝子の役割について検討を行った。 ヒヨス毛状根のcDNAライブラリーから特に高発現のHR7遺伝子を分離し、そのゲノミッククローンを既にクローニングし、その構造遺伝子部分、プロモーター部分の塩基配列を決定し、プロモーター領域の毛状根における発現性を検討し、HR7のプロモーターは毛状根特異的に高発現であるが、パーティクルガンによるトランジェントな発現では、CaMV35Sプロモーターに必ずしも勝るものではないことを確認している。 今年度は、1、HR7プロモーターの発現性のCaMV35Sプロモーターとの比較をトランジェントに再確認を行った。2、HR7遺伝子の発現の組織特異性を検討し、毛状根に特異的で、正常根では毛状根の20%の発現が、カルスやその他の組織では発現が非常に弱いことが明らかになった。3、形質転換植物体におけるHR7プロモーターの発現性の検討を行うべくHR7プロモーター下流にGUS遺伝子を連結したコンストラクトを作成し形質転換植物体の誘導を行っているが今のところ成功していない。4、HR7ゲノムクローンの各種植物ホルモンや各種阻害剤等の化学物質に対する発現の応答性についてノーザンハイブリダイゼーションで検討した結果、オーキシンによってその発現が特異的にしかも強く阻害されることが明らかになった。HR7遺伝子の発現はオーキシンによって、1nMという低濃度で発現が阻害され、経時的には、3時間後から抑制がみられ、比較的応答が遅くオーキシンが間接的にHR遺伝子を抑制していることが推測される。
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