1996 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸トランスポーター蛋白:その分子的実体の同定、および、血管内皮細胞内へのアスコルビン酸の輸送メカニズム
Project/Area Number |
08877332
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Research Institution | Hiroshima Prefectural University |
Principal Investigator |
三羽 信比古 広島県立大学, 生物資源学部・生物資源開発学科, 教授 (00142141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 則男 広島県立大学, 生物資源学部・生物資源開発学科, 助手 (40227989)
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Keywords | アスコルビン酸 / トランスポーター / 血管内皮細胞 / 過酸化脂質 / アポトーシシ |
Research Abstract |
ヒト臍帯静脈とウシ大動脈の血管内皮細胞を用い、[^<14>C]アスコルビン酸(Asc)が特異的に結合する膜蛋白質成分(アスコルビン酸トランスポーター:AscTr)を単離し同定すると共に、この血管内皮細胞を用いて、Ascの細胞内への輸送メカニズムとアポトーシス抑制効果を調べた。 ウシ大動脈血管内皮細胞BAE-2への[^<14>C]Asc取込みは、飽和の細胞密度ではその1/4の疎らな細胞密度に比して顕著に減少したが、その原因は細胞周期がG1期の増加とG2+M期の減少にあり、細胞どうしの接触による有効AscTrの減少によるものではないことを示した。Ascの細胞内取込みはデヒドロアスコルビン酸(DehAsc)に比して、投与量増大による減少が少なく、共存グルコースによる減少も少ないことが明らかになり、DehAscより安定して細胞内取込みを受けることがわかった(Mol.Cell.Biochem.,in press 1997)。 脂質過酸化剤t-BuOOHで処理されたBAE-2細胞は細胞膜に傷害を受けてアポトーシスを起こすが、この時、酸化抵抗型Asc誘導体であるAsc-2-0-phosphateを投与しておくと、t-BuOOHによる細胞膜傷害も細胞死も顕著に抑制されるのに比して、未修飾Ascでは無効であることを見出だしたが、このメカニズムとして、Asc-2-0-phosphateが脱リン酸化されて細胞内に遊離Ascとして取込まれ、細胞外よりも67-120倍高濃度に細胞内に蓄積されるのに比して、未修飾Ascは9-12倍の細胞内濃縮に止まるためであることを示唆した(Free Rad. Res.,in press 1997)。 BAE-2細胞の細胞膜の画分からCHAPSなどの界面活性剤での膜蛋白質の可溶化し、AscTrと推定される[^<14>C]Ascと特異的に結合する成分をSlot blotで見出だしたが、未だ結合活性が弱い。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 蔭山勝弘、小野山靖人、大谷周造、木村正継、湯浅勲、長尾則男、三羽信比古: "Promotive action of acylated ascorbate to cellular DNA synthesis and growth at low doses in contrast to inhibitory action at high doses or upon hyperthermia" J.Cancer Res.Clin.Oncol.Vol.122. 41-44 (1996)
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[Publications] 長尾則男、松原大、中山朋子、江藤哲也、岩垣博己、済木育夫、三羽信比古: "アスコルビン酸の細胞機能:細胞内アスコルビン酸による癌浸潤・癌転移への抑制機構" ビタミン. 第70巻. 199-200 (1996)
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[Publications] 蔭山勝弘、山田龍作、大谷周造、高田佳江、湯浅勲、綿谷都、三羽信比古: "Cytotoxicity of 6-0-palmitoyl ascorbate-2-0-phosphate to tumor cells and combined effects of hyperthermia." Proc.Jpn.Soc.Hypertherm.Oncol.印刷中. Vol.11(掲載決定済み). (1997)
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[Publications] 藤原眞弓、長尾則男、蔭山勝弘、山本清高、三羽信比古: "Enhanced protection against peroxidation-induced mortality of aortic endothelial cells by ascorbic acid-2-0-phosphate abundantly accumulated in the cell as the dephosphorylated form" Free Radical Res.印刷中. (掲載決定済み). (1997)
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[Publications] 斉藤靖和、長尾則男、大内田理佳、山根隆、蔭山勝弘、武藤徳男、三羽信比古: "Moderately controlled transport of ascorbate into aortic endothelial cells against slowdown of the cell cycle, decreasing of the dose or increasing of coexistent glucose as compared with dehvdroascorbate." Mol.Cell.Biochem.印刷中. (掲載決定済み). (1997)