1997 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸トランスポーター蛋白:その分子的実体の同定、および、血管内皮細胞内へのアスコルビン酸の輸送メカニズム
Project/Area Number |
08877332
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Research Institution | Hiroshima Prefectural University |
Principal Investigator |
三羽 信比古 広島県立大学, 生物資源学部・生物資源開発学科, 教授 (00142141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 則男 広島県立大学, 生物資源学部・生物資源開発学科, 助手 (40227989)
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Keywords | アスコルビン酸 / トランスポーター / 腎臓、 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
ビタミンC(アスコルビン酸:Asc)を細胞内へ輸送するAsc特異的輸送担体(Asc トランスポーター:Asc-Tr)の存在が示唆されているが、その分子的実体、生化学的性質は全く明らかにされていない。そこで、ウシ大動脈の血管内皮細胞を用い、[^<14>C]アスコルビン酸(Asc)が特異的に結合する膜蛋白質成分(アスコルビン酸トランスポーター:AscTr)を単離し同定すると共に、この血管内皮細胞を用いて、Ascの細胞内への輸送メカニズムとアポトーシス抑制効果を調べた。 まずウシ大動脈由来の血管内皮細胞(BAE-2)から粗膜画分を抽出して得られた膜タンパク質と[^<14>C]Ascとの結合をドットブロッターを用いた方法で解析する実験系を確立した。BAE-2細胞の膜タンパク質の[14C]Asc結合は、非ラベルAsc、Asc輸送阻害剤で阻害され、対照タンパクBSAには[14C]Asc結合が殆ど認められなかったことから、このAsc結合が特異的であることが示唆された。 次にラット腎臓から粗膜画分を抽出し、硫安塩析で[^<14>C]Ascとの結合を解析した。ラット腎臓のAsc結合タンパクは活性を保持したまま界面活性剤CHAPSにより最も効率よく可溶化された。腎粗膜可溶化タンパク質の結合活性は、タンパク濃度、100μMまでのAsc投与濃度に依存して増加した。この結合は、非ラベルAscとその光学異性体であるiso-Ascで阻害されたが、酸化型のDehAscでは阻害されなかった。また、ナトリウムイオンはこの結合には影響を与えなかった。この腎粗膜可溶化タンパク質をゲル濾過クロマトグラフィーで分離した結果、分子量約300000と約8000の溶出位置に2つの高いAsc結合活性のピークが認められた。今回得られた結果は、膜由来のAsc結合成分がAsc-Trであることを示唆する.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藤原眞弓、長尾則男、蔭山勝弘、山本清高、三羽信比古: "Enhanced protection against peroxidation-induced mortality of aortic endothelial cells by ascorbic acid-2-0-phosphate abundantly accumulated in the cell as the dephosphorylated form." Free Radical Res.27. 97-104 (1997)
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[Publications] 斉藤靖和、長尾則男、大内田理佳、山根隆、蔭山勝弘、武藤徳男、三羽信比古: "Moderately controlled transport of ascorbate into aortic endothelial cells against slowdown of the cell cycle, decreasing of the dose or increasing of coexistent glucose as compared with dehydroascorbate." Mol.Cell.Biochem.173. 43-50 (1997)
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[Publications] 山根 隆、長尾則男、三羽信比古: "ビタミンCの細胞機能:細胞内アスコルビン酸の高濃度化とそれに伴う生物効果の多面性" FRAGRANCE JOURNAL. 25. 7-19 (1997)
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[Publications] 杉本美穂、長尾則男、三羽信比古: "ビタミンCの抗酸化作用:紫外線/過酸化脂質のDNA障害と細胞老化への防護効果共著" FRAGRANCE JOURNAL. 25. 41-54 (1997)
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[Publications] 村田友次、木幡康則、三羽信比古: "油溶性ビタミンC誘導体の開発:皮膚への防護・美白効果および抗癌効果・癌転移抑制効果" FRAGRANCE JOURNAL. 25. 71-79 (1997)