1997 Fiscal Year Annual Research Report
PKC活性化剤グニディマクリンの制癌活性とその作用期序に関する研究
Project/Area Number |
08877335
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
吉田 光二 国立がんセンター, 研究所・薬効試験部, 主任研究官 (20158471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 国立がんセンター, 研究所・薬効試験部, 室長 (10208134)
西條 長宏 国立がんセンター, 病院・放射線治療部, 部長 (00215526)
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Keywords | グニディマクリン / PKC / PKCβII / cdk2 / G_1停止 / ダウンレギュレーション / 細胞周期制御 / p21(WAF1 / CIP1) |
Research Abstract |
我々は、マウス白血病や固形癌に強い制癌効果を示し、ヒト癌細胞の増殖をピコモルの濃度で抑制する新制癌剤グニディマクリンを単離した。グニディマクリンの作用を検討した結果、培地中で添加されている血清アルブミンと結合、活性を保持し、安定性も保っていることが見い出された。グニディマクリンは癌細胞の蛋白質リン酸化酵素(PKC)に結合して、活性化するPKCアクチベータ-であった。次にグニディマクリンによる細胞増殖抑制作用とPKCへの結合と活性化との関係を検討した。K562ヒト白血病細胞などグニディマクリンに感受性を示す細胞ではPKCのβIIの発現が強く見られた。一方、HLE肝癌細胞など耐性細胞ではPKCαは強く発現していが、βIIの発現は見られず、PKCアイソフォームの発現の違いが感受性を異にする可能性が示唆された。増殖を抑制する濃度(0.0005μg/ml)のグニディマクリン存在下でK562細胞を培養すると、24時間後に細胞はG_1の細胞周期に蓄積され、細胞周期G_1からS期への移行を制御する酵素の一つcdk2の活性が阻害された。より高濃度では、cdk2の活性はほぼ完全に阻害され、最高のG_1細胞周期蓄積率が見られたが、0.05μg/mlまで濃度を増加した時細胞のPKCの発現とその機能は十分の一以下にダウンレギュレーションされた。そしてcdk2活性の阻害と細胞周期G_1への蓄積が逆に低下した。cdk2活性の阻害のメカニズムを検討した結果、K562細胞をグニディマクリン存在下で培養すると4時間後にcdkの阻害因子p21(WAF1/CIP1)の発現が誘導されることが明らかとなった。これらの実験結果からグニディマクリンは細胞のPKCを介して細胞周期制御因子に働き、細胞増殖を抑制していると思われる。グニディマクリンは現在米国の国立癌研究所においても制癌効果が調べられ、大腸癌などに効果が見られたのでヒトの癌細胞のヌードマウスの実験系に入ることが決定された。
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[Publications] Mitsuzi Yishida: "Antitumor activity of daphnane-type diterpene gnidimacrin isolated from Stellera chamaejasme L." International Journal of Cancer. 66. 268-273 (1996)
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[Publications] Mitsuzi Yoshida: "Mechanism of antitumor action of PKC activator,gnidimacrin" International Journal of Cancer. (発表予定).