1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878016
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
木原 勇夫 島根医科大学, 医学部, 助手 (20116396)
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Keywords | 胎動 / 股関節 / 胎児手術 |
Research Abstract |
昨年度の研究において、ラット胎児後肢を固定するための胎児手術法を確立することができた。今年度は、この方法を用いて、胎動と股関節の形成の関係について検討した。すなわち、股関節腔の形成が始まる妊娠16.5日に後肢固定を行い、子宮外発生法によって発生を継続させ、それぞれ妊娠18.5日及び22.5日に帝王切開にて胎児を取り出し、股関節について形態学的に観察した。手術後2日目である妊娠18.5日胎児の頂殿長・体重・大腿骨骨頭横径を計測し、妊娠18.5日の正常胎児のそれらと比較した結果、有意差は無く胎児全体の発生に対して手術の影響は認められなかった。しかし、固定側大腿骨骨頭表面は正常発生のそれと比較して、表面に凹凸が見られ、表層にやや核が大型の紡錘形の軟骨細胞が2〜3層の層構造を形成し、正常発生の骨頭表層においては単層の扁平な軟骨細胞層あり、両群に形態学的な相違があった。また、膠原線維の走行は、正常発生の胎児骨頭においては線維束を形成し、細胞を取り囲むような篭状構造を形成していたが、固定側の骨頭表面の線維は、任意な方向にしかも密に走行していた。 手術後6日目である妊娠22.5日胎児の頂殿長・体重は、妊娠22.5日の正常胎児のそれらと比較して有意に小さく、手術の影響があったと推測されるが、大腿骨骨頭横経においては、両者に有意差は認められなかった。固定側骨頭表面には凹凸があり、2〜3層の扁平な軟骨細胞が並んでいた、妊娠22.5日に自然分娩されたラット新生児の骨頭表面は滑らかであり、最表層は軟骨基質で被われ、軟骨細胞が表面に露出していなかった。 これらの結果より、後肢固定手術による後肢の運動制限によって、大腿骨骨頭横径の成長には影響が認められなかったが、大腿骨骨頭表面に細胞の配列や膠原線維の走行など構造変化を起こしたことが示唆された。
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