言語性学習障害児における音声聴取能力の評価法に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08878029
• Research Institution: Tokyo Gakugei University
• Principal Investigator: 原島 恒夫 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (70262219)
• Keywords: 言語性学習障害 / 中枢性聴覚障害 / 両耳分離聴

Research Abstract

平成9年度においては、競合ノイズによる単耳聴・両耳聴テストを試作した。検査の方法は被検児が競合ノイズ条件で音声を聴取し、その音声を復唱するというものである。本年度は評価用音声リストを試作し、健聴成人にて予備実験を行った。
(1)単耳聴・両耳聴テスト作成方法
言語性学習障害児用音声聴取能力評価リストは幼児でも喜んで検査にのれるような日常的な単語(いぬ、ねこ、うし、せみ)と競合ノイズ(ホワイトノイズ、マルチト-カノイズ)とを組み合わせたものからなる。競合条件は5条件であり、1)単耳無競合;片耳にのみ単語を呈示、2)ホワイトノイズ競合(片耳に単語、反対側にホワイトノイズを呈示)、3)マルチト-カノイズ競合(片耳に単語、反対側にマルチト-カノイズを呈示)、4)両耳無競合(両耳に2つの単語を交互に呈示)、5)両耳分離聴(両耳に2つの単語を同時に呈示)であった。まずこれらの音をDATに収録し、次にこれらの音素材をA/D変換してパーソナルコンピュータに取り込んだ。さらにこれらの音を音声編集ソフトを用い、上記の呈示条件になるように編集をおこない。ランダムリストに従ってDATに出力、録音した。
(2)単耳聴・両耳聴テスト実施方法
検査語音はオ-ジオメータにより、50dBSLとなるように音圧を調整し、被検者の両耳に呈示し、聞こえたものを復唱あるいは絵カードの指さしにより応答させた。
これらの検査課題を正常成人において予備実験を行った結果、ほぼ100%の正答率を得、幼児にも十分適用可能であると考えられた。