1997 Fiscal Year Annual Research Report
DNA鎖を用いた分子コンピューティングの実現手法に関する研究
Project/Area Number |
08878043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩崎 裕 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00029901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉信 達夫 大阪大学, 産業科学研究所, 講師 (30243265)
谷澤 克行 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20133134)
樹下 行三 大阪大学, 工学部, 教授 (00028995)
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Keywords | コンピューティング / DNA / DNAコンピューティング |
Research Abstract |
DNAコンピューティングは、DNAの分子認識機能を利用することによって、モル当たりアボガドロ数オーダーの超並列演算を可能にする方法として期待されており、特に、NP完全問題のように問題の規模に対して計算量が著しく増大する場合において、従来の計算機に比べて取り扱える問題の規模が大きくなることが期待されている。DNAコンピューティングについては、これまでにいくつかのインプリメンテーションが提案されており、小規模な問題については実際に演算も行なわれているが、必ずしもそのまま大規模な問題に対してスケーラブルではない。 本研究では、まず、組み合わせ問題のブール代数化と、DNA鎖長へのコーディングを用いてナップサック問題を解くアルゴリズムを提案し、実際に小規模な問題について演算を行ない、解の有無を判定することができた。この方法では、まず、DNA断片の全ての組み合わせからなるDNAをLigation反応によって生成した後、PCR反応によって条件を満たす組み合わせのみを増幅し、電気泳動によって解の有無を判定する。また、解となる組み合わせを具体的に知る方法として、大腸菌プラスミドを用いたクローニングを行ない、DNA配列を読み取った。この方法では、複数の解が存在する場合にも各々分離して解が得られるという利点がある。 さらに、DNAコンピューティングにおいて問題の規模を大きくする際に現実的な問題として現われるてくるであろう、分子生物学的プロセスの信頼性の問題に注目し、間違った組み合わせに対してLigation反応が起こる割合を塩基対ごとに調べ、エラー率の評価を行なった。
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