1998 Fiscal Year Annual Research Report
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08878064
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 信 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (10005465)
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Keywords | 逐次推定法 / ベイズ推定 / 逆問題解法 / データ駆動型 / アンフォールディング問題 / CT画像再構成問題 / 悪条件逆問題解法 / 事前情報併用解法 |
Research Abstract |
統計論におけるベイズ推定式を拡張して、一般的、あるいは工学的逆問題解法の一手法として逐次的手法を提案し、具体的な適用例として放射線計測関係の諸問題を取り上げ、その適用性を証明した。 (1) 逐次的なベイズ推定法は本来有限個の原因候補内で尤もらしい候補を推定する手法である。工学的問題では真値を含む事実上無限個の分布群を候補にする必要があり、具体的な問題が解かれた例はなかった。 本課題では部分空間的なアプローチでこの問題を克服し、二つのベイズ法を提案した。データ駆動型推定法としては「事後確率集積法」は計数イベント毎の推定が可能であり、原理的にリアルタイム推定を可能ならしめた。「逐次ベイズ逆投影法」は蓄積されたデータについて推定が可能である。ここで「逆投影」は本来CT領域の言葉であるが、本研究ではスペクトルアンフォールディング問題などでの積分的測定データをベイズの重みで各原因へ合理的に割り振る手法という一般的な意味で用いている。 (2) 本年度は、「事後確率集積法」は中性子スペクトルアンフォールディング問題、厚い試料を用いた荷電粒子核データ測定における元スペクトル復元問題へと適用され、ほぼ期待通りの結果を得た。「逐次ベイズ逆投影法」は、最初、透過型CT問題で確立されたが、その後PET問題へも適用され、さらにた荷電粒子核データ測定における元スペクトル復元問題で上の手法よりも成功した。また一方、各種の計算機トモグラフィ(CT)の画像再構成問題、すなわちX線(ガンマ線)透過型CT、陽電子CT(PET)、そして極端な悪条件分光によるプラズマ分布測定CT問題などへ適用され、良好な結果を示した。 (3) 透過型CTにおいて、収納構造物の事前情報がある場合、そのデータベースを基礎に構造物認識アルゴリズムとの結合による効率的な適応的CT手法の基礎技法が確立できた。 本提案手法の特徴をまとめると、以下のようになる。 1)原理が非常に容易である。2)事前情報を容易に取り込める。3)測定値が正の場合には必ず推定結果の正値が保証される。4)部分空間上での推定なので、部分的測定結果が得られた段階でも推定が可能である。これは劣決定問題を解くことを意味する。つまり、データが少ない場合、得られたデータ量に応じて正解に近い解を与える。5)極端な悪条件は容易に制約条件を加えることによって緩和できる。
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[Publications] S.Iwasaki: "New Approach for Unfolding PHA Problems Based Only on the Bayes' Theorem" Proc.9th International Symposium on Reactor Dosimetry,Prague,Chezk,Sep.2-6, 996 (World Scientific,Singapore). 245-252 (1998)
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[Publications] S.Iwasaki,S.Odanaka,Y.Shiatoku,T.Misui,M.Kitamura,M.Haruyama,M.Takess,and K.Ara: "New CT image reconstruction algorithm based on the Bayes estimation" Nuclear Instruments and Methods in Physics Rhysics Research,Section A. 422 No.1-3. 426-430 (1999)