1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 晃 東北大学, 工学部, 助教授 (90182998)
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Keywords | 水素原子ビーム / 水素負イオン源 / 半導体レーザー / 光解離反応 / 中性化セル |
Research Abstract |
本研究の目的は、種々の原子分子基礎過程の研究にとって必要不可欠な低エネルギー領域での原子ビームを得るために、レーザー光を用いた光解離過程を応用して数十eV以下の領域で効率よく水素原子ビームを得る方法を開発することである。具体的にはまず、水素負イオンを生成しそれを加速減速し目的のエネルギー領域にする。その負イオンビームをレーザー光中に通過させることにより余分な電子を光解離(photo detachment)現象により取り除き、このエネルギー領域での中性原子ビームを効率よく定常的に得るものである。 本年度は高効率な負イオン源およびイオンビームの加速減速および収束系を製作し、一方で引き出された負イオンを原子ビームに変換するために通過させる光学系統の設計製作を行った。 まず水素負イオン源としてセシウム注入型の多極磁場型のイオン源を製作した。ここから負イオンビームを数100Vで引き出し、その後偏向磁石を用いて不要な中性粒子成分を除くとともに、エネルギーのそろったイオンビームを得た。ビーム電流量は未だ少ないが今後ビームの収束系の構成を整備することによりビーム強度を増加させていく。また、水素負イオンの光解離(photo detachment)過程は波長約800nmで断面積が最大となる。この波長で定常に発振できるものとして半導体レーザー(波長811nm、出力15W)を準備した。レーザー光の収束系は当初2つの放物面鏡を対向させることを考えていたが、鏡面によるロスや光の発散効果が大きく問題があったため、かわりに円筒鏡を対向させてその焦点のところにビームを通過させるように変更した。また、発散を少なくするためレンズ系の改良を行った。今後、中性原子ビームの測定のため飛行時間型中性粒子計測器を整備し、得られたビームエネルギー幅、ビーム強度を測定していく予定である。
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