1996 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物処分地におけるアメリシウムの吸着剤としての生物源燐酸塩に関する研究
Project/Area Number |
08878075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / アメリシウム / 希土類元素 / 放射性廃棄物 / アクチノイド / 吸着 / リン酸塩 |
Research Abstract |
現在地下深さ数百mの処分場に使用済み核燃料は永久処分するという計画が進んでいる。しかし数千年後には地下水が放射性廃棄物の入った容器に達して、半減期が数千年以上の有毒なアクチノイドが地下水に溶け出し、生物圏に到達する事は十分想定される。その場合、廃棄物の容器の埋没箇所周辺の充填材の中に有毒なアクチノイドを吸着してくれる物質が混在していれば安全性が増す。本研究では生物源燐酸塩をその候補として、アメリシウムに対する分配係数や吸着容量の性能を検討している。 ちなみに熱力学データ(放射性廃棄物研究3巻1号49-61)から見ると、アメリシウムは土壌などに吸着されやすく、本研究はむしろチェルノブイリの様な事故現場でのアクチノイド除去材として有益という意見も伺った。研究協力者の無機材質研研究員・末次寧氏と相談の結果、人工試料については太平化学の燐酸カルシウム試料(HAP)を採用した。また、死後まもない生体からの吸着実験に使用する生物源燐酸塩を分離した。肉眼観察から、エナメル質又は象牙質の試料2種類について選んだ。生物源燐酸塩は化学分析の結果、カルシウム以外にマグネシウムやナトリウムが不純物として含まれていた。人工試料(HAP)も合わせて、吸着実験に供する試料を選定した。水槽内に、希土類元素をドープさせた人工海水を入れて、生体内生物源燐酸塩粒やHAPへの吸着実験を行った。しかし、2、3カ月での希土類元素の吸着量は少なく、ICP発光分析装置では検出できない。検出感度が3桁よいICP質量分析計での測定をセイコ-社のデモ実験に依頼中である。また、RI総合センターの管理区域内でのトレーサー吸着実験を行おうとしたが、管理区域内に登録している核種に制限があり、実験が遅れているが、次年度には行えるようにしたい。
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