1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878081
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50006326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 眞宏 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70209899)
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Keywords | ワッカー反応 / アンチワッカー酸化 / 末端オレフィン / パラジウム触媒 / アルデヒド |
Research Abstract |
末端オレフィンをパラジウム(II)触媒を用いてメチルケトンに酸化するワッカー反応は、歴史的にもまた工業的にも大きな意義をもつ重要な反応である.ワッカー法は、パラジウム(II)触媒、塩化銅(II)、水、及び酸素を使用するだけの極めて簡単な反応であるにも拘らず、位置選択性は非常に高く、温和な条件下、高収率でメチルケトンに変換できることから、有用な反応として有機合成に広く用いられている.極く少数の例外を除いて、末端オレフィン(ビニル基)をワッカー酸化すれば、メチルケトンが選択的に得られるというのが有機化学上の定説となっている. 本研究は、有機合成的に多くの利点を有するワッカー酸化の位置選択性を完全に逆転させ、末端オレフィン(ビニル基)からアルデヒドへ直接変換する実用的合成手法の開発を目指すとともに、そのための予備実験としてパラジウム触媒、溶媒効果、酸化剤などについての基礎的データを収集する目的で行われたものである. ワッカー酸化の際、立体的に非常に嵩高いアルコールを用いればアルコールの付加は立体障害の少ないビニル基の末端側から優先的に起こるものと期待され、またその際生成するビニルエーテルはt-ブチルエーテルであるため、系内に存在するHClにより容易にイソブテンの脱離を伴ってアルデヒドに変換すると考えられる.このような考えの基に、1-オクテンをモデル化合物として無水t-ブタノール中で種々反応を検討した.その結果、予想通りオクタナ-ルと2-オクタノンの混合物が得られることが分かったが、期待に反してアルデヒドの生成比は非常に低いことが判明した.今後さらに、パラジウム触媒の種類の検討、酸化剤および溶媒効果の検討、反応条件の最適化を計り基礎的データを収集して選択性を向上させる予定である.
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