1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878095
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 孝行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80197152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 淳之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40261276)
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Keywords | 哺乳類 / 排卵 / プロテアーゼ / 卵巣 / 卵胞 |
Research Abstract |
哺乳類の排卵は種々のホルモンの作用により誘起される複雑な現象であり、卵巣を包む外皮が溶解され成熟した卵母細胞が放出されることによってクライマックスを迎える。この卵胞壁溶解過程には、組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)/プラスミン系とコラゲナーゼが関与すると想定されているが、その詳細は必ずしも明らかになっていない。最近になって、tPAが不活性前駆体で分泌されることが明らかにされたことから、排卵を控えた卵胞にはtPAを活性化する酵素が存在するであろうと考えられるようになった。当研究室では卵胞内のtPA活性化酵素の候補としてフォリプシンを見出していた。 平成9年度では、これまでのブタ卵巣卵胞液を用いた研究をさらに発展させるために、ヒト卵胞液を用いた研究にも着手した。詳細な検討の結果、ブタフォリプシンがプラズマカリクレインであることが判明した。さらに哺乳類の卵胞液には、プラズマカリクレインの活性化に関わる第12因子とプラズマカリクレインの基質である高分子量キニノーゲンが存在することを生化学的および分子生物学的方法により明らかにした。卵胞内のプラズマカリクレインには、tPA活性化酵素としての役割と高分子量キニノーゲンからブラジキニンを産生する役割があることを示唆するものである。その他、本年度に得られた新しい知見としては、ヒト卵胞液にはプラズマカリクレインのアイソフォームが存在すること、卵胞内プラズマカリクレインの活性制御には血漿タンパク質のα2マクログロブリンが関わっている可能性があること、排卵時の卵胞壁溶解に関与するコラゲナーゼとして6種の候補を捉えたこと等が挙げられる。一方、前年度に既に見出していた新しいタイプの卵胞内tPA活性化酵素については、その完全精製と特性の解明を本年度の目標の一つとして取り組んだが、精製の難しさから達成できず、今後の課題として残された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohnishi,J.: "Follicular Fluid from Human Ovaries Contains Plasma Kallikrein Complexed with α2-Macroglobulin" Biomed.Res.18. 161-170 (1997)
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[Publications] Kihara,T.: "Identification and Activation of Profollipsin,a Latnet Precursor Form of Porcine Follipsin" Eur,J.Biochem.245. 392-397 (1997)
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[Publications] Takahashi,T.: "Proteases Involved in Follicle Rupture during Ovulation" J.Reprod.Develop.43. 75-76 (1997)
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[Publications] Kudo,T.: "An Isoform of Plasma Kallikrein Occurring in the Follicular Fluid of Human Ovaries" Biomed.Res.18. 369-374 (1997)
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[Publications] Kimura,A.: "Localization of Prolyl Endopeptidase mRMA in Small Growing Follicles of Porcine Ovary" Mol.Reprod.Develop.(印刷中). (1998)
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[Publications] Takahashi,T.: "Identification and Partial Characterization of a Metallopeptidase from Porcine Ovaries" J.Exp.Zool.(印刷中). (1998)