1996 Fiscal Year Annual Research Report
内因性好中球活性化因子の検索とそれによる生体防御機構の解明
Project/Area Number |
08878096
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
向井 秀仁 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (20251027)
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Keywords | 好中球 / 白血球 / 生体防御機構 / 免疫系 / リソゾーム酵素 / エキソサイトーシス / 分泌 / G蛋白質 |
Research Abstract |
本研究は、生体防御機構において重要な役割を担っている好中球の活性化を調節する内因性因子を単離し、好中球の関与する生体防御機構を明らかにすることを目的としているが、現在までに異なる8種のペプチド性好中球活性化物質を単離し、順次その構造解析を行なっているところである。これら活性化物質は、親水的で非常に高い活性化能を持つ物質、および疎水的であり比較的低い活性化能を示す物質に大別される。″第一の物質″については3種あり、その部分配列および質量などの構造情報が得られている段階である。″第二の物質″として現在までに5種の全一次配列を決定している。これらは既知の蛋白質の一部であるが、すべて正電荷アミノ酸残基と疎水性アミノ酸残基を持ち、両親媒性構造をとると考えられるものである。これらのうちのひとつである、チトクロムC酸化酵素サブユニットVIIIのC末端ペプチド(COSP-1と略記)については、化学合成COSP-1を用いることにより、1)好中球様に分化したHL-60細胞からのエキソサイトーシスを促進すること、2)細胞内カルシウム濃度上昇を惹起すること、3)これらの作用はGiタイプG蛋白質の活性化を経て惹起されること、4)肥満細胞からのヒスタミン分泌を促進すること、7)精製したGiタイプG蛋白質を活性化すること、という結果が得られた。これらの結果は、細胞が死にいたる、あるいは大きな傷害を被ったとき、チトクロムC酸化酵素の様な普段は細胞外に放出されることのない蛋白質が漏出、それが細胞外に存在する分解酵素によって分解、あるいは細胞内で分解、放出されることによって好中球活性化因子となり、これに向かって好中球が遊走し活性化され異物となった死細胞を処理するという生体防御系が存在する可能性を示していると考えられ、今後この仮説の検証を行なってゆきたいと考えている。
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[Publications] Abe,J.,Fujinaka,H.,Mukai,H.,Munekata,E.: "Study on the activation mechanism of neurokinin receptors." Peptide Chemistry. 1995. 277-280 (1996)
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[Publications] Mukai,H.,et al.: "The regulation of GTP-binding regulatory proteins by substance P,mastoparan and their derivatives." Peptides. 1995. 403-405 (1996)
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[Publications] Fukuhara,S.,Mukai,H.,et al.: "Intracellular signal transduction involved in neurokinin receptors." Peptides. 1995. 410-411 (1996)
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[Publications] Fukuhara,S.,Mukai,H.,et al.: "Further identification of neurokinin receptor types and mechanisms of calcium signaling evcked by neurokinins in the murine neuroblcstoma C1300 cell line." J.Neurochem.67. 1282-1292 (1996)