1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08878119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 隆行 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 助手 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
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Keywords | サケ / 墓川回帰 |
Research Abstract |
【1】ディファレンシャルディスプレイ法による母川回帰遺伝子同定の試み 1)河川放流、および2)未放流のヒメマスの中枢神経系からRNAを抽出し、2の魚由来のRNAを対照としてmRNA-ディファレンシャルディスプレイ法(DD法)により母川記憶形成時に特異的に発現しているmRNAのcDNA断片をクローニングすることを試みた。実験は、洞爺湖臨湖実験所産ヒメマス幼魚(0^+)を用い、河川に放流して一昼夜経過した群を試験群、もとの飼育水にそのまま放置したものを対照群とした。それぞれ捕獲後速やかに全脳を摘出、凍結しmRNAの抽出のためのサンプルとし、DD法に供した。その結果、放流する際の(河川の位置や河川水のニオイを記憶する際の)ヒメマス稚魚の全脳に対してDD法(を適用した場合、河川水刺激(河川水のニオイの記憶形成)などによるmRNA発現変化が個体差や他の刺激による無数の変化の中に埋没してしまい、目的とする変化を抽出することができないことがわかった。したがって、用いるサンプルは全脳ではなく、母川記憶が形成される部位のみに限局する必要にせまられた。そこで、まずサケ・マスが河川のニオイあるいは位置を記憶する脳内部位を同定し、その部位について母川記憶時および母川回帰時にのみ特異的に発現する遺伝子の検索を行うこととした。 【2】母川記憶形成部位の特定 回帰遺伝子は、母川記憶形成時(あるいは母川回帰時)の脳において部位特異的な発現を示すと考えられる。そこで、c-fosの発現を指標として脳内活性化部位の特定を行う方法をサケマスに適用することを考えた。しかし、現在までに魚類c-focのアミノ配列に関する報告は無い。現在、大量に入手することが容易なニジマス全脳を用い、c-fosの全長配列の決定を試みている。
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