1996 Fiscal Year Annual Research Report
極低温低角度回転蒸着法による遺伝子転写過程の動的イメージング
Project/Area Number |
08878123
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
臼倉 治郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30143415)
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Keywords | 低角度回転蒸着 / DNA / 転写因子 / RNAポリメラーゼ / 電子顕微鏡 / 大腸菌 / CAPイメージング |
Research Abstract |
転写複合体の形成は情報伝達系の究極であり、また分子が分子を認識して機能する典型である。このような分子認識過程では構造が極めて重要な役割をはたす。したがって、それらの構造解析は転写を理解するうえで必須である。我々は低角度回転蒸着法を改良して転写複合体の直接観察を試みた。本研究の推進により遺伝子の転写や組み変えといった生命の重要現象が一部ではあるが動的形態変化として捉えられるようになった。本年度は次の二点について研究を行った。(1)CREBとソマトスタチン遺伝子プロモーター領域との結合を三次元的に明らかにした。すなわち、CREBは二量体として機能するが、ロイシンジッパー部分を向き合うように二量体が形成される。これら二量体によって形成されるクレバスの間にDNAを挟み転写因子としての機能を果たすことになる。しかし、多くの観察結果から、ただ挟むだけでなく、捻っていることが考察される。DNAに捻りと屈曲を与えることにより転写開始を増強していることが形態的に予測された。(2)大腸菌のDNAとポリメラーゼの結合を明らかにした。ポリメラーゼは生化学的にβ,β',α,α,δの四つのサブユニットからなることが生化学的に明かとなっている。分子量の違いを基準としてa,b割り当てると二つのαサブユットの上にβとβ'のサブユニットが向かい合って被さった構造となることが明かとなった。この際β,β'とα,αとの間には大きなチャンネルが形成される。そしてこのチャンネルにDNAが挟まれることが形態的に示された。一方δ因子の構造は明らかにできなかったが、δ因子がDNAプロモーター部を認識する機能があること、およびこの因子を外したコア酵素の構造との比較から、α,β間に存在する大きなチャンネルにDNAと共に存在するものと思われる。
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[Publications] Taya,S.,Taniguchi,Y.,et al.: "Development of γthpe energy filtering TEM." J.Electrom.Microsc.Vol.45. 307-313 (1996)
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[Publications] Yamazaki,A.,Bondarenko,V.A.,et al.: "Possible stimulation of retinal rod recovery to dark state by cGMP release from a cGNP phosphodiesterase noncatalytic site." J.Biol.Chem.(in press.).
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[Publications] Hirako,Y.,Usukura,J.,et al.: "Demonstration of the molecular shape of BP180,a 180-kDa bullous pemphigoid antigen and its potential for trimer formation" J.Biol.Chem.vol.271. 13739-13745 (1996)