1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンからグリアへのSOS信号・損傷神経由来グリア活性化因子の探索
Project/Area Number |
08878141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木山 博資 大阪大学, 医学部, 助教授 (00192021)
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Keywords | SBA / ミクログリア / レクチン / 神経損傷 / 接着因子 / ディファレンシャルディスプレイ |
Research Abstract |
神経損傷後に周囲のグリア細胞に向けて発信される分子、すなわち神経細胞膜上や細胞外に発現する分子を検索する目的で、i)レクチン組織化学によるグリコシレーション分子の検索、ii)N-グリコシレーションサイトを認識する核酸プライマーを用いたディファレンシャルディスプレイ法による分子の検出、の2点について研究を行った。 i)レクチン組織化学によるグリコシレーション分子の検索 16種のレクチンを用いて舌下神経損傷後に発現してくる糖鎖結合分子に関してスクリーニングを行った。その結果、SBAレクチンに結合するグライコプロテインが損傷神経細胞において著明に増加することが明らかになった。電子顕微鏡を用いてその微小局在を調べると、SBA陽性反応は軸索に損傷を受けた神経細胞内、特にゴルジ装置近傍にに認められた。また、神経損傷後に活性化して遊走してくるミクログリアと損傷神経細胞の間の細胞外基質中に認められた。このことからSBA陽性分子は損傷神経細胞で産成され、ミクログリアとの接着に関与する分子と予想された。 ii)N-グリコシレーションサイトを認識する核酸プライマーを用いたディファレンシャルディスプレイ法による分子の検出 N-グリコシレーション部位のアミノ酸配列に相当する核酸配列を持つプライマーをデザインし、舌下神経損傷側と健常側から得られたRNAを用いてディファレンシャルディスプレイ法を行った。これにより、損傷後に細胞膜上へ移行する分子を探索した。本方法によって、N-グリコシレーション部位を有する未知分子が検出された。全長のcDNAクローニングにより、本分子は膜を7回貫通する部位を有するG蛋白結合型の受容体と類似の構造を有することが明らかになった。さらに本分子は、N-末に特徴的なロイシンジッパー構造を有するため、ダイマーまたはポリマー構造をとる可能性が明らかになった。
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[Publications] Morita N: "p53 independent cyclin G expression in a group of mature neurons and its enhanced expression during nerve regeneration." J.Neurosci.16. 5961-5966 (1996)
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[Publications] Oshige-Hayashi Y: "Expression of Glycine max (soybean agglutinin : SBA) binding molecule in injured motoneurons and its specific localization in the extracellular matrix between injured neurons and microglia." Neurosci.Res.(in press). (1997)