1996 Fiscal Year Annual Research Report
中枢シナプス細胞骨格異常が引き起こす記憶情報処理障害に関する研究
Project/Area Number |
08878151
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
白尾 智明 群馬大学, 医学部, 教授 (20171043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関野 祐子 群馬大学, 医学部, 助手 (70138866)
東海林 幹夫 群馬大学, 医学部, 講師 (60171021)
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Keywords | drebrin / dendritic spine / Alzheimer |
Research Abstract |
神経回路の記憶情報処理に際し、中枢シナプスの動的・可塑的変化が重要な役割を果たしている事はほぼ明らかであり、シナプスにおいてはスパインの形態変化や受容体の再配分なども起きていると考えられる。 我々は記憶情報処理障害のあるアルツハイマー病脳においてはシナプスに異常があるのではないかと考え、アクチン結合蛋白ドレブリンおよびシナプス小胞に特異的な蛋白SVP38の各々に対する抗体を用いて、正常老化脳とアルツハイマー病脳の海馬の免疫組織化学を行なった。するとアルツハイマー病脳ではシナプス小脳に特異的な蛋白SVP38にたいする抗体染色では異状は発見されず、アクチン結合蛋白ドレブリンに対する抗体染色でその染色性の消失を発見した。このドレブリンの消失はウェスタンブロッティングによってもたしかめられた。 ラット成熟脳におけるアクチン結合蛋白ドレブリンの樹状突起への局在がすでに報告されていたが、まずこの局在を包埋後の免疫染色の電顕像、シナプトゾーム画分の免疫染色の電顕像、培養細胞にシナプスを形成させたときの免疫染色像により確認した。 次にアルツハイマー病脳のスパインにおけるドレブリンの量を調節するする因子の同定を試みるために、まず培養系を用いてドレブリンの調節因子を探した。その結果(1)ドレブリンの胎児型から成熟型への変換は活動依存性に起こること、(2)リン酸化酵素阻害薬K252aにより発現が特異的に押さえられること、(3)神経栄養因子によりその発現が制御されている可能性があることを発見した。
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[Publications] Y.Sasaki: "Inhibition by drebrin of the actin-binding activity of brain-fascin" J.Neurochem. 66. 980-988 (1966)
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[Publications] K.Hayashi: "Modnlatory rde of drebrin on the cytoskeleton with in dendrite spines" J.Nearosci. 15. 7161-7170 (1966)
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[Publications] 田中聡一: "小脳顆粒細胞の凝集塊培養でのニューロトロフィンの神経突起伸長に及ぼす影響" 神経組織の再生,成長,移植. 8. 59-60 (1966)