1996 Fiscal Year Annual Research Report
視交叉上核スライス培養系からの極微弱光測定を用いた概日リズム発信機構の解析
Project/Area Number |
08878157
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
礒島 康史 理化学研究所, 光生物研究チーム, フロンティア研究員 (40281670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒島 隆史 理化学研究所, 生体高分子物理研究室, 研究員 (40271522)
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Keywords | 極微弱生化学発光 / 視交叉上核 / 概日リズム / スライス培養 |
Research Abstract |
最初に、視交叉上核の長期培養系を確立した。生後5〜8日齢のラットから400μm厚の視交叉上核を含むスライスを作成し、従来行われていた旋回培養法ではファイバーの設置が困難なので、多孔膜(Millicell-CM,Millipore)上で培養する静置培養法を用いた。 次に、この視交叉上核スライスからの極微弱生化学発光を入力端径150μmのテ-パファイバーで光検出器(単一光子計数装置)に誘導する系を構築した。この系を用いて、連続6日間にわたり極微弱生化学発光の概日性変動を検出した(周期は23.5時間)。概日変動のパターンは、急性スライスの時のパターン(主観的明期と主観的暗期の中間にそれぞれ発光量が最大になり、明期暗期の移行期に最低になる)とは異なり、約24時間ごとの発光量の急激な低下のみを特徴としており、peakの位置はっきりしなかった。発光量の最大時と最小時の差は約1×10^<-2> counts/secで、10^<-17>W/mm^2orderの光強度に相当した。 培地に2μM tetrodotoxin(TTX)を添加し活動電位発生を阻害した場合でも、視交叉上核スライスからの発光には概日性の変動が見られ、極微弱生化学発光が神経細胞におけるelectrical activityよりも時計発信中枢に近い活動変化を反映していることが明らかになった。 また、Ca^<2+>-freeの培地条件で視交叉上核におけるシナプス伝達を遮断した場合においても極微弱生化学発光の概日変動は残されており、視交叉上核における概日リズム発信にはシナプス伝達は必須ではなく、個々の細胞が発信機能を維持していることを裏付ける結果となった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Isojima,Yasushi: "Tetrodotoxin-resistant component of circadian rhythm from rat suprachiasmatic nucleus slice detected by biochemiluminescence" 26th Annual Meeting・Society for Neuroscience Abstructs. 22. 2052 (1996)
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[Publications] 下西康嗣ら共編: "新生物化学実験のてびき 4" 化学同人, 179 (1996)