1996 Fiscal Year Annual Research Report
ネコ網膜水平細胞の機能分化の生理学的・分子生物学的研究---グルタミン酸受容体と周辺受容野修飾機構の関連---
Project/Area Number |
08878159
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森際 克子 大阪大学, 医学部, 助手 (00273665)
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Keywords | 網膜 / 成熟ネコ / 水平細胞 / グルタミン酸受容体サブユニット / GluR2 / 3 / GluR4 / GluR6 / 7 / 周辺受容野修飾機構 |
Research Abstract |
ネコ網膜にはA及びB型の二種類の水平細胞が存在し、視細胞に抑制性フィードバックをかける事により周辺受容野を形成する事が知られているが、その機能分化については明らかにされていない。本年度は、その機能分化を検討するために、グルタミン酸受容体サブユニット(GluR 2/3,2/4,4,6/7)の発現様式を、A、B型を染め分け得る抗カルビンデイン抗体との二重染色免疫組織化学法で調べた。その結果、樹状突起終末部は、A型では抗GluR4,6/7抗体で鮮明に染まったのに対し、B型ではこれらの抗体で明確に染まらなかった。抗GluR2/3,2/4抗体では両型とも濃く染まった。この研究でA、B型が樹状突起終末部で異なるAMPA/カイニン酸受容体サブユニット構成を持ち、特に、低親和性カイニン酸受容体サブユニットであるGluR6/7が、A型にのみ多く発現している事が明らかとなった。GluR6サブユニットは、プロテインキナーゼAにより直接燐酸化され、グルタミン酸応答を増大させ得る唯一のGluRサブユニットであり、この燐酸化が周辺受容野修飾機構に影響を与えると考えられる。GluR6とGluR7のC端末部はシーケンスホモロジーが高いため、今後は、それらのサブユニットに特異的なmRNA塩基配列を検出することによって、上記の発現サブユニットがGluR6である事を確認する必要がある。既に、GluR6及びGluR7に特異的な塩基配列を持つオリゴDNAプライマーを作製し、現在、10-20個のA型水平細胞のmRNAの抽出・精製、さらに、RT-PCRを実施中である。
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