1998 Fiscal Year Annual Research Report
先端的言語理論の構築とその多角的な実証(副題:ヒトの言葉を組み立て演算する能力を語乗の意味概念から探る
Project/Area Number |
08CE1001
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
井上 和子 神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 教授 (10052193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 裕子 東京立大学, 人文学部, 助教授 (20172835)
鷲尾 龍一 筑波大学, 現代語現代文化学系, 助教授 (90167099)
石居 康男 神田外語大学, 外国語学部, 助教授 (10232240)
岩本 遠億 神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 助教授 (50245289)
長谷川 信子 神田外語大学, 大学院・言語科学研究科, 教授 (20208490)
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Keywords | 言語理論 / 普通文法 / 言語獲得 / 脳科学 / 自然言語解析モデル / 言語の演算 / ミニマリストプログラム / 原理と |
Research Abstract |
3年間の成果を取りまとめ、本プロジェクト全般にわたって理論研究・実証研究の成果を国際ワークショップ(10年11月18日、19日)において公表した。ワークショップでの討論者として国内から数名、海外からもMIT及び他の研究機関から数名の研究者を招へいし、活発な討論を行って、理論・実証両面でのさらなる充実と発展の方向性を見極めた。特に生成文法創始者であるチョムスキー教授をワークショップの基調講演者に迎えたこと、およびチョムスキー教授の集中討論会における研究指導により、多大の成果があがった。11年3月20日、21日には、University of MassachusettsのKyle Johnson準教授をはじめ、海外から6名の研究者を招き、“MOVE and INTERPRETα"というテーマで活発な討論を行った。 〈理論研究〉 理論構築班:1.全ての研究課題を、上記の国際ワークショップにために総合、再編した。特に理論研究全体を視野に、それぞれの研究成果を批判的・建設的に検討し、理論全般にわたって本プロジェクトからの提言をまとめるべく具体的な計画を練った。本年度は、MITから宮川繁教授、Pesetzky教授を招へいし、集中的な研究打ち合わせを行った(6、7月)また、10月にはUniversity of DurhamからEmonds教授、3月にはKyleJohnson準教授の参加を得て、特にポストドックの個別研究についても集中審議を行った。2.実証班との関わりでは、実証研究の実地調査がかなり進み、(特に韓国・フランス等々)、理論との連携について計画を進めた。記述研究班:1.理論構築班への記述面からの支援を継続した。2.韓国語研究に関しては、平成9年度に収集したデータ・資料を理論班の仮説に基づき分析し、再調査のために再び韓国で現地調査を行った。3.フランスの研究機関を訪問し、文献・資料・インフォーマントによるデータの収集・記述研究を行い、フランスの研究者と意見交換をした。〈実証研究〉第一言語習得班:l.前年度に立てた仮説の検証を、実験計画に添って実施した。2.(1)に伴い大量に収集されたデータを整理・分析し、パラメター獲得に関する仮説を提出し、ワークショップ で発表した。3.(2)の仮説に対し、理論班と意見交換し、実験結果から理論へのフィードバックを提供した。第二言語習得:1.被験者の音声環境と知覚・発音の関係を調べ、海外における研究の結果と比較検討し、大人と子供に見られる類似点・相違点を検証し始めた。2.理論の音韻班と連携して、被験者のデータを検証し、日本語話者の英語の音節獲得が、日本語が拍言語であることとどのように関わるかを調べた。神経言語学・神経医学:1.平成8〜10年度で得られた特異的なパターンの脳局在をより明らかにする目的で多チャンネル(128部位)脳波を用いてSCD分析を行った。2.双極子探索法を適用し、各成分の発生源について検討した。これらの成果をワークショップで発表し、海外からの討論者からも示唆に富む意見を得た。3.これまでの実験の成果を理論班と意見交換し、理論へのフィードバックを提供した。情報処理班:1.MITと協力して発展させつつある「原理とパラメター」理論に基づく、生成・解析モデル(PAPPI)をより充実させる努力を続けている。2.第一言語習得班のパラメター獲得の仮説がコンピューターでモデル化できるか検証し、可能なら、その初期モデルを開発する。コミュニケーション班:平成8〜10年度の作業をさらに充実させ、海外(米国・中国)での事例収集を行い分析を精密化した。特にミネソタ大字・ハワイ大学東西センター他で研究者との意見交換を行い、仮説の検証に向けて作業を進めている。〈データベース作成〉 平成9〜10年度の作業を各研究班毎に継続する。記述研究の成果が大量にデータベース化されているので、それらをCOE本部に可能な限り集中した。実証班の実験データの蓄積の充実を図っている。
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Research Products
(32 results)
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[Publications] 井上和子: "Roles of the Japanese Postposition Ni Lexical" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 201-226 (1999)
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[Publications] 長谷川信子: "COE国際ワークショップ「先端的言語理論の構築とその多角的な実証」報告" 月間「言語」. 28.2. 76-79 (1999)
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[Publications] Tsuruo Hisaizumi and Bruse Horton: "Pervasiveness of Idiomaticty" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 495-512 (1999)
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[Publications] Bruse Horton: "Comruter Software & Validity in University Entrance Examination" Working Papers in Linguistics and Language. 2. 193-212 (1998)
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[Publications] Bruse Horton: "The Strong From-Meaning-Corrrelation Hypothesis:How Robust Are Corpus Linguistics Claims?" 神田外語大学紀要. 10. 227-268 (1998)
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[Publications] 小林美樹: "虚辞構文の史的発達について 第3回中間報告" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 301-310 (1999)
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[Publications] Robert De Silva: "Key Wards in Business News:A Corpus Study" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 513-528 (1999)
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[Publications] 藤田知子: "最上級構文・再考" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 339-356 (1999)
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[Publications] Enoch Iwamoto: "Notes on Benefactive Constructions in Alamblak" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 249-258 (1999)
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[Publications] Yasuo Ishii: "NP-Conmparatives,Scrambiing and Wh‐Phrasea" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 1-20 (1999)
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[Publications] Yasuo Ishii: "Scrambling of Weak NP´s in Japanese" Japanese/Korean Linguistics. Voiume8. 431-444 (1998)
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[Publications] Kazuki Kuwabara: "A Note on Reduced Wh-Question in English:Certain Discrepancies between Sclucing and Reduced Cleft" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 21-34 (1999)
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[Publications] Akira Watanabe: "Remarks on Hard Movement wihein VP shell" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 183-200 (1999)
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[Publications] 浜之上 幸: "現代朝鮮語の「目撃法」語尾雑考" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 311-338 (1999)
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[Publications] 原岡笙子: "日本語話者による英語の韻律的特徴-音声教育への応用に向けて-" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 643-660 (1999)
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[Publications] 久米昭元: "コミュニケーション様式の比較研究" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 567-602 (1999)
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[Publications] 松本 茂: "日本人のコミュニケーション能力に関する基礎研究‐日本語ディペートにおける「わかりやすさ」に関する考察-" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 613-624 (1999)
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[Publications] 板場良久: "「機械」としてのコミュニケーター -近代コミュニケーション論再考" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 603-612 (1999)
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[Publications] 千葉修司: "英語の非対格動詞の第一・第二言語習得" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 357-396 (1999)
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[Publications] Reiko Shimamura: "Lexicalization of Syntaction Phrases : The Case of Genitive Compounds like Woman´s Magazine" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 277-300 (1999)
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[Publications] Kazuyuki Nakagome,Satoru Takazawa,Osamu Kanno,Hiroko Hagiwara,Heizo Nakajima Kanji Ito: "An Erp-based investigation on the Nature of Linguistic Dependencies:A Preliminary Report on Semantic andSyntactic Anomalies in Japanese" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 453-480 (1999)
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[Publications] Ken-ichi Takami: "Unaccusativity and Reswultative Constructions in English and Japanese" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 145-182 (1999)
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[Publications] Ken-ichi Takami: "Passivization Tough-Movement and Quantifler Float:A Functional Analysis based on Predication Relation" English Linguistics. 15. 139-166 (1998)
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[Publications] Ken-ichi Takami(他): "「There構文と非対格性」(1)" 英語青年. 144-10. 589-594 (1999)
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[Publications] Ken-ichi Takami(他): "「There構文と非対格性」(2)" 英語青年. 144-11. 650-657 (1999)
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[Publications] Ken-ichi Takami(他): "「There構文と非対格性」(3)" 英語青年. 144-12. 757-760 (1999)
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[Publications] Shigeo Tonoike: "Attract F and Elimination of the LF Component-A Proposed I Model of Grammar-Focus on Pronouns" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 85-110 (1999)
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[Publications] 杉岡洋子: "状態変化動詞の派生をめぐる予備的考察" COE形成基礎研究費研究成果報告書先端的言語理論の構築とその多角的な実証. 227-248 (1999)
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[Publications] 杉岡洋子: "語形成の生産性とレキシコン" 慶応義塾大学言語文化研究所紀要. 30. 267-285 (1998)
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[Publications] Y I Sato: "Origin and varietal differentiation of Asian Cultivated rice (Oryza sativa L)" VIIth IOPB International Symposium Plant evolution in man-made Habits´. (in Press).
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[Publications] 佐藤洋一郎: "遺伝子研究は「稲作の道」 をどこまで解明したか、シリーズ・日本人と日本文化の起源" 歴史街道. 3月号. 29-63 (1998)
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[Publications] 佐藤洋一郎: "DNAから栽培と農耕の歴史を探る" 生物の科学・遺伝. 52. 29-33 (1998)