2009 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリー電気泳動によるドキソルビシン誘導DNA断片化の定量的評価
Project/Area Number |
08F08035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今坂 藤太郎 Kyushu University, 工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MBUNA Julius Joseph 九州大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 抗がん剤 / アポトーシス / アントラサイクリン / p-糖タンパク質 / キャピラリー電気泳動法 / レーザー励起蛍光検出法 / RDES / A549 |
Research Abstract |
昨年度は、20mMのタウロデオキシコール酸と2%の2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリンを含むホウ酸緩衝溶液(60mM、pH9.3)を泳動溶液として用いることで、2種のアントラサイクリン系抗がん剤を20分以内で分離できることを明らかにした。平成21年度には、この方法を4種の抗がん剤に適用した。 同様の泳動溶液を用いて、アントラサイクリン系の抗がん剤であるドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ドウノルビシンの分離を達成することができた。昨年度の研究結果から、アントラサイクリン系の抗がん剤は、4時間程度まで細胞内に蓄積されるが、その後、膜タンパク質であるp-糖タンパク質(MDR)と多剤耐性関連タンパク質(MRP)により細胞外に放出されることがわかった。そこで、p-糖タンパク質の阻害剤であるサイクロスポリンA、ベラパミル、プロビニシッドで細胞を処理し、細胞内に抗がん剤を蓄積できるかどうかを検討した。その結果、ベラパミルを単独で用いた場合に、細胞内への抗がん剤の蓄積が顕著であることを発見した。また、その蓄積挙動は抗がん剤の種類によっても異なっていた。ベラパミルはMDRを阻害し、プロビニシッドはMRPを阻害することが知られている。したがって、本研究で得られた結果は、研究で用いた細胞(RDES)では、MRPよりもMDRがより多く発現していることを示唆するものである。したがって、開発した分離分析法は、細胞内に取り込まれた複数の抗がん剤を同時に計測できるとともに、多剤耐性に関連するタンパク質の阻害剤の効能評価にも応用できることが明らかとなった。
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