2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08322
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 玄 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JISHAN Fan 北海道大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / 弱解の正則性 / 逆問題 / Tikhonovの不動点定理 / ソース項同定 |
Research Abstract |
Navier-Stokes方程式と関連する方程式に対して、(i)解の正則性と(ii)逆問題について研究を行った。次に(i)、(ii)の概要について述べる。 (i)Leray-HopfによりNavier-Stokes方程式の時間大域的弱解の存在が示されてから約半世紀が経過したが、未だにこの弱解の一意性、正則性は不明である。弱解の正則性については、Serrinによる結果が最初の目覚しい結果である。この結果以後多くの研究がなされ、儀我、小薗、小川、谷内等の日本人研究者が貢献してきた。今回Fan博士は早稲田大学の小澤徹教授と共に、BMO空間における補間不等式を示すことにより、圧力勾配に関するある種の仮定のもとで、Berselli-Galdi-Zhouによる弱解の正則性の結果を拡張することに成功した。この結果は、雑誌論文項目の第一論文として発表した。 (ii)Navier-Stokes方程式を使って具体的な問題をモデリングする場合には、Navier-Stokes方程式に含まれる粘性係数やソース項を、計測データから如何に同定(決定と同義語)するかが問題となる。このような問題は逆問題と呼ばれでいる。雑誌論文項目の第二論文では、質量にも依存するNavier-Stokes方程式のソース項同定逆問題の解か、時間局所的に存在することを示した。ここで用いられた方法は、逆問題を第二種のFredholm型非線形積分方程式に変換した後、Tikhonovの不動点定理を適用して、この非線形積分方程式が一意に時間局所的に解を持つことを示す方法である。この論文の結果は、A.I.Prilepko達が行った流体の質量が一様な場合の結果を、拡張したことに他ならない。我々の研究方法とA.I.Prilepko達の研究方法の違いは、彼らがSchauderの不動点定理を用いたのに対して、我々はTikhonovの不動点定理を用いた点にある。Tikhonovの不動点定理の方が適用範囲が広く、使いやすいことをうまく我々の逆問題に適用出来たことがこの論文の成果につながったといえる。
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