2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08322
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 玄 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FAN Jishan 北海道大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / Boussinesq方程式 / 逆問題 / 安定性 / Carleman評価 |
Research Abstract |
Navier-Stokes方程式やBoussinesq方程式の初期値問題や初期値境界値問題などの順問題は、長年にわたって多くの数学者によって研究されてきた。順問題研究の応用においては、順問題の解が現象を記述するように順問題に含まれる物理係数のモデリングが重要である。一旦このモデリングが定まると、そのモデルを使って現象の要因解析や品質・安全管理のための非破壊検査を考えることができる。例えば、Navier-Stokes方程式の順問題に含まれる物理係数としては、ソース項や粘性係数などがある。これら物理係数のどれかが未知であるとき、Navier-Stokes方程式の順問題の解に関する情報からこれらの未知物理係数を求める問題は、逆問題である。以下では、未知ソース項を求める逆問題をソース項同定逆問題と呼び、未知粘性係数を求める逆問題を粘性係数同定逆問題と呼ぶことにする。 Navier-Stokes方程式のソース項同定逆問題に関する先行研究として、Prilepko, Olovsky, Vasinの結果がある。本研究では、この逆問題に関してLipschitz安定性が成立することを示した。 粘性係数同定逆問題に関する本研究では、領域境界近傍における解の情報による未知粘性係数同定について研究し、負指数のL&^2 Sobolev空間におけるCarleman評価を用いてLipschitz安定性が成り立つことを示した。 Boussinesq方程式については、ソース項同定逆問題と未知初期値を同定する逆問題について研究した。ソース項同定逆問題については、領域内の任意微小領域上での速度を一定時間計測して得られるデータとある一定時刻における温度をこの微小領域上で計測して得られるデータから未知ソース項を同定する逆問題に関して、Lipschitz安定性が成り立つことを示した。また未知初期値を同定する逆問題については、領域内の任意微小領域上のBoussinesq方程式の順問題の解の情報から二つの未知初期値の同定する逆問題に関して、条件安定性が成り立つことを示した。
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