2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARTI-RUJAS Javier 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 細孔性ネットワーク錯体 / アモルファス相 / 相転移 / 非経験的粉末X線構造解析 / 準安定 / 速度論支配 / 熱力学支配 / 固相反応 |
Research Abstract |
自己組織化の原理を利用して合成されてきた物質は、熱力学的支配による生成物が大部分を占めており、速度論的支配により単一に合成され、構造が明確な物質の報告例は稀有である。本研究では、従来の熱力学的手法では不可能な高次ネットワーク構造体の構築を速度論的に行い、新規物質の創製を目的とした。 三角形パネル架橋配位子TPTと亜鉛イオン(ZnX2,X=Br or I)を含む溶液を短時間で添加することにより速度論的支配によるネットワーク錯体の瞬間合成を行ったところ、[(ZnX2)3(TPT)2]の組成を有する細孔性ネットワーク錯体(1)が得られた。テンプレートとしてトリフェニレンを共存させた場合、熱力学的支配からは、1次元ネットワーク錯体が、速度論敵支配からはバイポーラスネットワーク錯体が得られた。それぞれの反応から得られた粉末体の粉末X線回折データをSPring-8で測定し、非経験的構造解析を行うことで構造決定に成功した。さらに、この準安定な粉体(1)を加熱したところ、アモルファス相を経由して、新たな結晶相が出現した。この粉末回折データをSPring-8で測定し、非経験的構造解析を行ったところ、新奇細孔性ネットワーク錯体[(ZnI2)3(TPT)2]が生成していることを明らかにした。錯体1の入れ子状の骨格が加熱により、結合の組み換えが起こり、1次元のサドル型錯体がII-IIスタッキングにより積層した構造に変化したことを解明した。特筆すべき結果は、今回結晶相-アモルファス相・結晶相への変換が起こることにより、はじめて新奇細孔性ネットワーク錯体を固体状態で得ることに成功した点である。
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