2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内外環境制御による生体アパタイト配向化メカニズムの解明
Project/Area Number |
08F08403
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 Osaka University, 工学研究科, 教授 (30243182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jeewook 大阪大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 生体アパタイト(BAp) / 骨質 / 骨量 / 骨代替材料 / 微小領域XRD / 骨系細胞 / 遺伝子組み換えマウス / 骨代謝回転 |
Research Abstract |
最近、我々の研究グループでは生体アパタイト(Biological Apatite: BAp)配向性とin vivo(生体内)応力の相関、BAp配向性に及ぼすin vivo応力の重要性と骨系細胞(bone cells)の役割を調べてきた。その結果、硬組織の評価および診断は、骨量に体表される骨密度(BMD)よりも、むしろ、骨質指標としてアパタイトナノ結晶のc軸配向の優先分布(配向性)により支配されることを明らかにした。本研究では、骨質を決定する極めて重要な因子であるカップリング現象(破骨細胞が担う骨吸収と骨芽細胞が担う骨形成のカップリング)に注目し、生体内環境制御による生体アパタイト配向化メカニズムを明らかにすることを目的とする。M-CSF(破骨細胞分化制御因子)欠損により大理石骨病を呈するop/opマウスに対し、M-CSFを投与することで、破骨細胞のレスキューし、骨量変化、ならびにアパタイト配向性に代表される骨質関連パラメータの解析を行った。その結果、rh-M-CSFを投与することで大理石骨病(Ostoepetrosis)の改善が認められた。例えば、μCTの解析結果、大理石骨病の典型的な特徴である骨髄腔内の右灰化はrh-M-CSFによる破骨細胞のレスキューによって吸収され、骨幹中央部でははっきりとした骨髄腔が現れ、正常骨並みの皮質骨が観察されるとともに、成長端近傍の骨梁も明らかに吸収されている様子が認められた。また、骨長手方向におけるBAp配向性の距離依存性を解析した結果、対照群(rh-M-CSF非投与群)に比べ有意に配向性が上昇する傾向が得られた。とりわけ、レスキューされた破骨細胞による骨吸収により骨芽細胞の骨形成も促進し、健全なカップリングの結果、BAp配向性の向上に繋がりがあると考えられる。つまり、生体内環境制御することで骨力学機能を規定するBAp配向性は骨代謝回転と極めて強い相関性があるものと結論された。
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Research Products
(4 results)