2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋微生物からの制がん活性に関連した酵素阻害物質の探索
Project/Area Number |
08F08437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Yi 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 海洋微生物 / 放線菌 / カテプシンB / ヒストンデアセチラーゼ / 糸状菌 |
Research Abstract |
探索源として海洋微生物を選定し、海洋研究開発機構所属の海洋微生物の分類と生物学を専門とする能木裕一博士との共同研究により、能木研究室からすでに分離済みの海洋起源微生物の放線菌およそ200種を前年度に提供され、それに加えて海洋起源の放線菌およそ100株および同糸状菌60株を探索源とした。生物試験として、以下の2種類の酵素阻害試験ならびに細胞毒性試験を行った。すなわち、阻害剤が転写抑制作用を示すヒストン脱アセチル化酵素ならびに細胞間基質の加水分解を通してがん転移に深く関わるカテプシンBである。培養条件の検討を進め、昨年使用したmarine brothに加え、新たにSK-2、KGおよびPC-1培地も用いて、菌を2-4日間の培養の後に培養液をメタノールに溶解し、酵素阻害試験を行った。海洋性放線菌のA-90株の培養液がカテプシンBに対して阻害活性を示したため、大量培養を行い活性成分の分離を行った。すなわち、500ミリリットル容の三角フラスコに100ミリリットルのISP-II培地を加えて、27℃にて3日間培養した。培養液を濾過し、ろ液を酢酸エチルにて抽出した。一方、菌体はアセトンで抽出したo抽出物を合一し、逆相クロマトグラフィーにて分画した。得られた40-60%メタノール溶出画分をさらに逆相高速液体クロマトグラフィーで精製し、3つのピークを分取した。これらの構造解析を核磁気共鳴スペクトルによつて行ったところ、いずれも既知化合物のジケトピペラジンで、その構造は、cyclo[Leu-Pro]、cyclo[Phe-Pro]、cyclo[Phe-Val]であつた。
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