2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のグルタチオンペルオキシダーゼ様タンパク質の生理機能
Project/Area Number |
08F08448
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重岡 成 近畿大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAHMOUD Ahmed Gaber Ahmed 近畿大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | シロイヌナズナ / 環境ストレス / グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX) / レドックス / 遺伝子破壊株 / トランスジェニック植物 / ストレス耐性植物 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.高等植物由来GPX様タンパク質の同定および機能解析 本研究では、GPXアイソザイムの中でも高い発現を示すAtGPX8の生理機能を明らかにすることを目的として、AtGPX8の酵素学的性質について調べるために、リコンビナント酵素を作製した。その結果、他のAtGPXsと同様に、AtGPX8はグルタチオンではなくチオレドキシンを電子供与体とし、H_2O_2や脂質過酸化物を消去することが分かった。また、GFP融合タンパク質を用いたイメージング解析により、AtGPX8の細胞内局在性について解析したところ、核および細胞質に局在することが分かった。さらに、AtGPX8の新規生理機能について模索するため、酵母2-ハイブリッド法を用いて相互作用タンパク質を同定した。その結果、AtGPX8はストレスシグナリングとの関連が示唆されているGAPC2やSYTAと相互作用することが示唆された。この事実は、AtGPX8が単に抗酸化酵素として重要であるばかりか、シグナル伝達因子としても機能する可能性を示した。 2.高等植物由来GPX様タンパク質等の過剰発現および発現抑制株の作出および評価 昨年度までに、KO-GPX8株はパラコート処理あるいは塩処理だけでなく、高温ストレス、ジャスモン酸やサリチル酸などに対しても野生株よりも高い感受性を持つことを明らかとした。そこで、今回はGPX8過剰発現株のT_3世代を用いて、各種ストレスおよびホルモン処理に対する感受性を評価したところ、非感受性を示した、よって、AtGPX8は植物のストレス防御の律速因子であることが明らかになった。前述のごとく、AtGPX8は細胞質だけではなく、核にも局在したことから、核の酸化損傷の回避、すなわちゲノムDNAの保護に重要であることが示唆された。
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