2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断の認識・修復の分子機構の解明とがん放射線治療への応用
Project/Area Number |
08F08468
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 義久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Mukesh Kumar 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | DNA修復 / DNA-PK / XRCC4 / XLF (Cernunnos) / タンパク質リン酸化 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年度は、DNA-PKによるXRCC4タンパク質のリン酸化の詳細な検討と意義の解析を中心に行った。前年度までに、XRCC4のリン酸化部位を計4カ所同定し、既報の1カ所を加え、計5カ所の部位に対するリン酸化状態特異的抗体を作製し、変異体を発現する細胞を樹立した。リン酸化状態特異的抗体を用いたウェスタン・ブロッティング法により、全ての部位において細胞内でリン酸化が起こっていることが確認された。既報の1カ所については放射線照射によるリン酸化状態の変化は認められなかったが、我々が同定した4カ所はいずれも放射線照射後の亢進が認められた。DNA-PK欠損細胞、DNA-PKおよびATM阻害剤の効果などを検討した結果、2カ所については、DNA-PK欠損細胞あるいはDNA-PK阻害剤下での減弱を確認することができた。また、変異体を発現する細胞について解析を行った結果、2カ所のリン酸化部位を欠損する細胞で、放射線感受性の亢進が認められたことから、DNA修復において重要な役割を担うリン酸化部位であることが示唆された。この意義を明らかにするために、リン酸化によるタンパク質間相互作用の調節の可能性を探った。まず、FHAドメインを有するタンパク質との相互作用を解析した結果、複数のリン酸化部位の関与に加え、リン酸化に依存しない結合様式の存在が示唆された。また、リン酸化および非リン酸化ペプチドをリン酸化状態特異的に結合する分子の探索を行った。その結果、リン酸化によって結合が増強する分子が1種類、逆に、リン酸化によって結合が減弱あるいは喪失する分子が数種類見出された。DNA-PKによるXRCC4のリン酸化によってこれらの分子との結合、乖離が調節され、このことがDNA二重鎖切断修復に重要である可能性が示唆された。
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