2010 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンを介した骨代謝制御における 制御性T細胞の意義
Project/Area Number |
08F08471
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高柳 広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG L 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 骨粗鬆症 / 制御性T細胞 / アポトーシス / Noxa / 破骨細胞 |
Research Abstract |
本研究計画は、自己免疫寛容の制御および免疫活性の抑制を担う制御性T細胞と骨代謝を担う骨構成細胞の相互作用について、骨免疫学の観点から明らかにすることを目的としており、その過程で、我々はBH3ファミリーのアポトーシス促進因子であるNoxa遺伝子が、破骨細胞の分化過程で誘導される事を遺伝子の網羅解析から見いだした。 生体レベルでのNoxaの機能を明らかにするため、遺伝子欠損マウスの骨形態を解析したところ、顕著な骨量の減少が見出された。さらに、この病態は破骨細胞の増加に起因していることが明らかとなった。破骨細胞におけるNoxaの制御機構を明らかにするため、In vitro培養系を用いた解析を実施したところ、Noxa遺伝子欠損マウス由来の前破骨細胞数や破骨細胞へ分化には変化は無く、破骨細胞の分化関連遺伝子にも変化は見出されなかった。しかしながら、成熟破骨細胞において著明な延命効果が見出されたことから、遺伝子欠損マウスにおける破骨細胞の増加は、細胞死の抑制によるものであると考えられた。 破骨細胞の異常な活性化は、骨粗鬆症に留まらず、関節リウマチや癌転移において、骨破壊の病態基盤となる。従って、破骨細胞を人為的に制御することは新規治療戦略を考える上で、重要なテーマである。遺伝子欠損マウスによる研究成果を踏まえ、次に、実験的炎症性骨破壊モデルを用いてNoxaが治療標的になりうるか検討した。Noxaを病変部位に強制発現した場合、破骨細胞を顕著に抑制することで骨破壊の進行を抑制することに成功した。本研究から、Noxaが破骨細胞の生命を制御することで、新規治療戦略の足掛かりとなる分子であることが明らかになった。
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