2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドットやシリコンをベースにした次世代光デバイスの開発
Project/Area Number |
08F08741
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 泰彦 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BORDEL Damien 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 化合物半導体 / 量子ドット / レーザ / ナノテクノロジー / フォトルミネッセンス / ヒ化インジウム / ヒ化ガリウム |
Research Abstract |
III-V族化合物半導体の量子ドットを用いたレーザなどの発光素子は、その波長選択性、低発振閾値、温度安定性などの利点から、次世代の通信、演算素子用途に有望視されている。しかしながら、これまで、そのような量子ドットは通常、高価で未成熟なGaAsやInP基板上に形成されており、低コスト大規模生産に不向きである。そこで、安価に大面積基板の生産が確立されているSi基板上にInAs量子ドットを作製することを試みた。CMOS技術に立脚するSiの微細加工技術は、III-V族化合物半導体と比較してはるかに優れているため、もしSi基板上にIII-V量子ドットの発光素子を形成することができれば、光集積回路などの次世代素子の実現への大きな布石となる。 低コスト大規模生産に適している有機金属化学的気相成長法により、Geの薄膜がSi基板上に接着されているというGeOI代替基板上に、GaAsを母体とするInAs量子ドットの作製を試みた。Ge直上のバッファ層や、GaAsとSiの間の格子不整合による結晶中の欠陥の生成を抑制するための歪み緩和層などの成長条件の調整により、比較的均一なサイズでかつ発光・受光素子用途に適した高密度のInAs量子ドットの形成に成功した。さらに、成長条件の最適化により、汎用光ファイバー中の伝搬を考慮した際に最適とされる1.3ミクロンの波長帯にInAs量子ドットからの発光波長を合わせることにも成功した。現時点では、このGeOI基板上に作製したInAs量子ドットからの発光強度は、従来のGaAs基板上のものには達していないが、さらなる作製法の向上により同程度の発光強度が得られると考えている。
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