2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマター(特に膜糸)の組織化ダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
08F08817
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NESPOULOUS Mathieu 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | ソフトマター / 膜 / 自己組織化 / ダイナミクス |
Research Abstract |
ソフトマターの大きな特徴は、その時空階層性にある。最近、階層性を内包した液晶としてクロマチック液晶が注目を集めている。クロマチック液晶は、多くの場合ディスク状の分子の自己組織化により形成される。すなわち、クロマチック分子が棒状の凝集体を形成し、それがあるパッキング密度を超えるとネマチック液晶に代表されるメゾフェイズを形成する。この系は、分子、棒状凝集体、液晶秩序という階層的な秩序化様式をとり、そのため、流動場などにより、中間階層である棒状凝集体に変化を与えることで、液晶秩序を制御できる可能性という点で際立った特徴を有する。本年度は、クロマチック液晶の代表である、インタール・水混合系において基礎実験を行なった。具体的には、偏光顕微鏡観察により、ネマチック液晶領域、等方相との共存域、等方相の相境界を、温度、組成の関数として求め、相図を決定した。また、レオメータにより、各相の流動特性の温度、組成依存性を調べた。この過程で、等方相とのネマチック相が共存する際、界面へのアンカリングと弾性変形の競合により、興味深い形態のドメイン構造が観察された。また、あるずり変形速度以上で、非線形な流動挙動が観察され、このことは、実際に階層的な構造が流れにより変化していることを強く示唆している。現在、動的光散乱により、この液晶の緩和の階層性についての研究を行なっている。これらのデータをもとに、非線形流動がどの階層のどのような構造変化に起因しているのかを明らかにできると期待している。
|