2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマター(特に膜系)の組織化ダイナミクスに関する研究
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08F08817
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NESPOULOUS Mathieu 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ソフトマター / 膜 / 自己組織化 / ダイナミクス |
Research Abstract |
せっけん膜系のラメラ・ラメラ相転移のダイナミクスに関して研究を行い、色素を膜内にとりこませることにより、相分離構造の3次元可視化に成功した。その結果、2成分系の相分離でありながら2つの周期の異なるラメラ相に加え、第3の相として水相が付加的に形成されることが明らかとなった。この成果は、従来の相分離の常識を破るものであり、現在そのメカニズムも含めて検討しているところである。また、液晶の欠陥の可視化にも挑戦しているところである。ソフトマターの特徴である階層性を内包した液晶として、クロマチック液晶が注目されている。クロマチック液晶は、多くの場合ディスク状の分子の自己組織化により形成される。すなわち、クロマチック分子が棒状の凝集体を形成し、それがあるパッキング密度を超えるとネマチック液晶に代表されるメゾフェイズを形成する。この系は、分子、棒状凝集体、液晶秩序という階層的な秩序化様式をとり、そのため、流動場などにより、中間階層である棒状凝集体に変化を与えることで、液晶秩序を制御できる可能性という点で際立った特徴を有する。まず、クロマチック液晶の代表である、インタール・水混合系において基礎実験を行なった。具体的には、偏光顕微鏡観察により、ネマチック液晶領域、等方相との共存域、等方相の相境界を、温度、組成の関数として求め、相図を決定した。また、レオメータにより、各相の流動特性の温度、組成依存性を調べた。この過程で、等方相とのネマチック相が共存する際、界面へのアンカリングと弾性変形の競合により、興味深い形態のドメイン構造が観察された。また、あるずり変形速度以上で、非線形な流動挙動が観察され、このことは実際に階層的な構造が流れにより変化していることを強く示唆している。現在、動的光散乱により、液晶の緩和の階層性について研究を行なっている。これらのデータをもとに、非線形流動がどの階層のどのような構造変化に起因しているのかを明らかにできると期待している。
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