2008 Fiscal Year Annual Research Report
クライオ電子顕微鏡を用いたダイニン-微小管複合体の構造解析
Project/Area Number |
08J00020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 賢幸 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイニン / 微小管 / クライオ電子顕微鏡 / 構造解析 / ATP / 鞭毛 / Mass Spectrometry |
Research Abstract |
ダイニンは発生や生殖、脳機能に関わる重要なタンパク質であり、我々の研究によりATP依存的な構造変化を起こすことが明らかになっている。この構造変化をさらに詳細に解析することが本年度の研究テーマである。 1.ダイニンのドメインラベリング 2007年の論文では解像度の不足から、ヘッドドメインやストークドメインの方向を観察することができなかった。これを克服するために、抗体等のタンパク質を用いてラベリングを行い目的のドメインを可視化することを試みた。ストークドメインのラベリングは、ドメイン単体で発現精製を行うことが困難であり、またドメインがATP依存的に抗原性を変化させることなどから断念した。ヘッドドメインについては、抗体の非特異的結合の影響が大きかったためラベリングタンパク質を代えることにより成功した。ラベルされた複合体をクライオ電子顕微鏡により撮影し、ATPおよびADP存在下における複合体の再構成像と対照との比較から、ATP依存的な構造変化をより詳細に解析することができた。 2.ATPase活性部位のマッピング 上記の実験において、ラベルされた部位が本当に想定されているドメインであることを生化学的に検証するため、アジド化されたATPおよびADPを用いてダイニンとヌクレオチドを紫外線により共有結合させた。そのダイニンをプロテアーゼで分解し、二次元電気泳動とMass Spectrometryを用いて共有結合部位を同定する実験を進めている。 3.ストークドメインの撮影 1.の実験においてストークドメインをラベルすることができなかったため、コントラストの低いクライオ電子顕微鏡を用いた実験を断念し、ネガティブステイニング法を用いてストークドメインのATP依存的構造変化を観察した。通常使用される酢酸ウランではなくモリブデンにより高いコントラストを得ること成功した。また、トレハロースを包埋剤として使うことにより、電子ビームが試料に与えるダメージを押さえ、サンプルがステイニングにより変形するのを防ぐことができた。
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