2009 Fiscal Year Annual Research Report
農耕地における地下浸透水中への溶存温室効果ガス排出量を決定する要因の解明
Project/Area Number |
08J00361
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
南川 和則 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 特別研究員PD (60601151)
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Keywords | 温室効果ガス / 間接発生 / 脱窒 / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
今年度は当初の年次計画で示したように、「特徴的な現象の解明」を果たすべく研究を進めてきた。モノリスライシメーターを利用した長期モニタリングを中心として、その他のプロセス研究も同時並行で実施した。 モノリスライシメーター実験 野外において大型土壌カラムを用いたこの実験では、下層土壌での脱窒N_2O生成やその後の上方拡散に対する土壌タイプの違いや窒素施肥量の影響などを同時に検討している。実験自体は2010年夏まで継続予定であるが、両プロセスについて基礎的データが集積してきている。実験終了後には、土壌物理学的な手法によるガスフラックスの算出を実施予定であり、現在、定期的なモニタリングを継続中である。 モデル化 地下浸透水中の溶存N_2O濃度の予測に対して、既存のモデルに用いられているNO_3濃度パラメーターに加えて、DOC濃度やその他水質パラメーターを追加して、その予測精度を検証した。現在、1地点でのデータを扱っているが、3年目には、過去に得られた多地点でのデータを用いて、予測モデルの構造の妥当性や改良などを行う予定である。 脱窒炭素基質の基礎的研究 脱窒の基質となる炭素の供給量やその形態の経時的な変化を調査した。1年目に続いて固体NMR分析を行うとともに、DOCの生分解性を長期培養から検証した。結果は、作業仮説を立てる時点で予測したように、難分解性の画分が大多数を占めた。しかし、従属栄養脱窒が起こるには少なからず使われやすい炭素基質が使われていると考えられるため、3年目には、深度別のDOCの培養や、独立栄養脱窒・従属栄養脱窒の区別など、さらなるプロセスの解明を計画している。
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