2008 Fiscal Year Annual Research Report
レーザトラッピングプローブを用いたナノ3次元座標計測に関する研究
Project/Area Number |
08J00399
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
道畑 正岐 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | レーザトラッピング / 座標計測 / 位置検出プローブ / CMM / マイクロプローブ / 光放射圧 / 高精度化 / 知的計測 |
Research Abstract |
超高精度な座標測定器の開発を目指し、そのキーとなる測定物表面の位置を検出する位置検出プローブに関する研究を遂行している。レーザトラッピング技術を用いて、空気中環境下において集光レーザのスポット近傍に、直径8ミクロンの真球ガラス単粒子を浮遊させ、それをプローブとして用いる。レーザの集光位置を光軸に対して水平方向に励振することで、プローブに加振する。この強制振動型プローブを測定面に接近させると、測定面表面の数十μm程度に存在する水蒸気密度の濃い層に達する時、プローブ振動の位相が遅れ、振幅も減衰する。この減衰は急峻であり、これを検出することで高感度な測定面表面位置の検出が可能となる。 本プローブを用いて鏡面シリコンの表面を検出した場合、検出分解能は30nm以下、繰り返し精度は±64nm以下であった。本プローブを高精度XYZ3軸ステージ(位置決め精度:50nm以下、フルストローク:各軸40mm)に搭載し、基準形状の計測を行い、その性能を評価した。まず、Z方向の位置検出特性を評価するため、鏡面シリコンウェハを1mm×1mmのレンジで測定した結果、100nm程度のうねりが観測され、共焦点顕微鏡で測定した結果と一致した。また、3次元的なプローブ特性を評価するため、公称値で直径1mmのベアリング用超鋼球を測定した結果、1.005mmとなり、焦点検出型顕微鏡の測定結果0.9998mmとよく一致し、本プローブの有効性を示した。 次に、従来は1方向に振動させていたプローブを2次元に拡張し、光軸水平面内でプローブを円運動させる。本手法では、プローブの運動軌道を観察することで、測定面の"位置"および"法線角度"が同時計測可能である。基礎実験の結果、位置検出の分解能は39nm、角度測定の精度は3°程度であり、本手法の計有用性を確認した。今後、励振周波数や検出パラメータを最適化することでプローブの高精度化を図る。
|