Research Abstract |
平成21年度は(1)十勝平野の戦後開拓地を事例とし,農家間の社会関係から農地移動に至るプロセスについての研究が,「地理学評論」へ掲載された。(2)中山間地域における,棚田での農地利用をめぐる農家の存立基盤についての研究は,長野県上水内郡中条村大西地区を事例とし,棚田での耕作が維持されてきた基盤を,地域の「内的」要因と,棚田百選としてまなざされる「外的」要因から考察した。この研究に関しては,学術誌「人文地理」へ投稿中である。(3)関東平野の稲作卓越地域における,貸借権の設定や作業受委託による特定の担い手への農地の利用集積の仕組みについての研究は,千葉県成田市北須賀地区を事例として,大規模稲作経営を行う特定の担い手へ,農地が集積される仕組みに関する現地調査を行った。この研究に関しては,「日本地理学会2009年秋季学術大会」で発表し,調査結果の一部が紀要「地域研究年報32号」へ掲載され,さらに調査結果のもう一部を学術誌「地学雑誌」へ投稿中である。(4)淡路島三原平野の三毛作地帯を事例とし,高度に労働集約化がされた土地利用型農業地域にて調査を行い,村落社会構造を分析することから,農地の管理がどのように行われているのかを考察した。この研究に関しては,「人文地理学会2009年大会」および「日本地理学会2010春季学術大会農業・農村の地理学研究グループ例会」にて発表し,博士論文としてまとめている段階である。(5)三浦半島の半農半漁村において,三浦半島の半農半漁村において,ある特定の漁法が盛衰のプロセスを各農・漁家の農地の所有状況から分析・考察し,紀要「歴史地理学野外研究14号」へ掲載された。(6)長野県須坂市における,農産物加工に関する研究を行い,長野県須坂市の味噌・醤油醸造を事例に,生産から加工に至る動向について歴史的経緯を含めた調査を開始した。
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