2008 Fiscal Year Annual Research Report
極低温中性原子の超狭線幅光学遷移を用いた大規模量子計算の実現
Project/Area Number |
08J00524
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子 / 量子情報 |
Research Abstract |
実験に必要な特殊真空槽を設計、開発した。冷却原子を準備する一般的な金属製真空槽と、実験を行う薄型のガラスセルとを組み合わせた複雑な真空槽を設営、真空度1.2×10^-11torrという超高真空を実現した。超高真空の実現は冷却原子を使用した実験では非常に重要で、その真空度で原子集団の捕捉可能な時間が決まり、実験が行えるタイムスケールが決まる。今回のこの値はこれ以降の実験を行うにも十分な値と言える。次に、その真空槽中で原子を冷却する実験を行った。磁気光学トラップと呼ばれる手法で、10秒間の原子のローディングで1.1×10^7個のイッテルビウム原子の捕捉に成功した。その後、原子に対して非共鳴なレーザー光を使った光トラップを行い、光トラップ中に1.0×10^6個の原子を磁気光学トラップから移行する事に成功した。一連のこれらの実験は金属製の真空槽内で行ったが、これ以降の実験はガラスセルに原子を移す必要がある。そこで、光ピンセットと呼ばれる技術で光トラップに捕捉されている原子集団をガラスセルに移行させる実験を行った。この技術は光トラップに使われるレンズを動かす事で実現可能であるが、その移動には細心の注意を払う必要がある。その移動中に振動等のノイズがあるとそれはそのまま原子数の減少として反映され、ガラスセルまで原子を移行できなくなる。そこで、私は振動の少ないエアベアリングを採用したステージを準備し、実験を行いガラスセル中に原子がローディングされている事を確認した。これらの実験の進捗状況は研究計画に則ったものでここまで順当に研究が進行していると言える。
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