2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00817
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲田 結美 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 理科教育学 / 女子 / ジェンダー / 興味・関心 |
Research Abstract |
女子の理科学習促進のための方策を考案するにあたって,参考となりうる理系進学者の多い女子中学校における理科教育を調査した結果,女子中学校の生徒たちは,全国的な女子よりも理科に対する大切さや有用性の認識を高く持っていることが明らかになった。また,女子中学校の生徒たちは,女子の一般的傾向である理科の第1分野を顕著に嫌うという性質を持たず,分野による好き嫌いの偏りが見られない。女子中学校の生徒の理科に対するこうした意識が,理系進学へとつながる可能性が高い。このことから,中学校理科の第1分野への女子の興味・関心を高める必要があり,その方法として,理科に対する大切さや有用性を実感させるような教授方法が有効であろう。そして,諸外国における同様な観点による女子の理科学習促進のための具体的方策を検討する研究の中から,日本でも効果を発揮するであろうと推測される方策の具体的方法を提示することに着手している。まず,科学的論述にとらわれない想像的あるいは創造的で自由なライティング活動が,女子の理科学習への積極性を高めるとして提案した。女子は一般的に男子よりも「書くこと」を得意としているため,この活動を授業に導入することで,女子が自信と興味をもって授業に取り組めることが期待できるだけでなく,客観的・実証的な論述以外の多様な言語活動を理科授業に持ち込むことによって,女子が科学を身近に感じ,アプローチしやすくなるというフェミニズム科学論的視点からも推奨されている。この自由なライティング活動以外にも,女子が好む生物学や,医療・看護等の視点を物理学関連領域の学習内容に取り入れる「人体と物理概念の関連性を強調する教授方法」も有効であることを指摘した。今後は,これらの方策を中学校理科授業において実践し,その有効性を検証する段階へと移行していく予定である。
|
Research Products
(2 results)