2009 Fiscal Year Annual Research Report
光格子中における中性フェルミ原子の高温超流動状態の研究
Project/Area Number |
08J00949
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
素川 靖司 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光格子中における中性フェルミ原子の高温超流動状態の研究を行うことである。第1年度目においては、3次元光格子中にイッテルビウム(Yb)原子のボース同位体の^<174>Ybのボース・アインシュタイン凝縮を導入して、光格子を断熱的に立ち上げてゆくことで、超流動・モット絶縁体転移を実現した。また、Yb同位体のボース・フェルミ混合系を3次元光格子中に導入することにも成功し、ボゾンの位相コヒーレンスへの影響等を調べた。第2年度目では、初年度の成果を踏まえて、さらに3次元光格子中のYbボース・フェルミ混合系の振る舞いについて系統的に研究を行い、本研究において深く関連する、ハバードモデルの理解を深めた。Yb原子に豊富な同位体があることを生かして、二種類の量子縮退したボース・フェルミ混合系を用いた。^<174>Yb-^<173>Ybボース・フェルミ混合系は、ボゾン・フェルミオン間の散乱長が+7.3nmであり、斥力相互作用する。^<170>Yb-^<173>Ybボース・フェルミ混合系は、ボゾン・フェルミオン間の散乱長が-4.2nmであり、引力相互作用する。このように相互作用が異なる2種類のイッテルビウム同位体の混合系を用意することで、異種間相互作用が、どのように系の振る舞いに影響を与えるか調べた。光格子中の原子のプローブする方法として、ボゾンの多重物質波干渉の観測による位相コヒーレンスのプローブと同核および異核の光会合分光を用いた二重占有数とボース・フェルミペア占有数の測定を行った。異種間相互作用の違いによって、二重占有数およびペア占有数の原子数依存性が大きく異なることを明らかにした。また、占有数の測定結果を、ハバード模型の数値計算と学外の研究者の協力を得て比較することにより、定量的によい一致を示すことを確認した。これにより、3次元光格子中のボース・フェルミ混合系の基礎的な振る舞い、およびボース・フェルミハバードモデルの理解を進めることに成功した。
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