2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソ連末期における民族問題マトリョーシュカ構造の実証研究
Project/Area Number |
08J01599
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 圭史 Hokkaido University, スラブ研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際関係論 / 民族問題 / 民族紛争 / バルト研究 / 地域研究 / 国際政治 / モルドヴァ / 非承認国家問題 |
Research Abstract |
学術振興会特別研究員の研究テーマである「ソ連末期における民族問題マトリョーシュカ構造の実証研究」は、2010年9月の博士論文の完成を持って、当初掲げた研究目的のほとんどを達成することが出来た。ソ連の民族問題を分析する理論的枠組みが完成したことにより、今後は、理論を基にしたケーススタディを増やし、包括的に旧ソ連圏の民族問題を論じていくことが期待できる。平成22年度からは、追加されうるケーススタディとして、エストニアにおけるロシア系住民をめぐる民族問題を扱う予定である。この研究を円滑に行うために、同問題の専門家であるグラスゴー大学のデヴィット・J・スミス教授と連絡を取り、平成21年度若手優秀研究者派遣事業に応募した。派遣事業への合格を持って平成22年2月よりグラスゴー大学へ研究拠点を移した。 また、ソ連の民族問題と関連したテーマとして、モロトフ・リッベントロップ協定付属秘密議定書の公開をめぐる問題についても研究をした。この問題はソ連邦構成共和国の民族運動の激化に影響を与えた点で、ソ連民族問題史上、無視できない研究テーマである。研究報告は平成21年度ロシア史研究会年次大会で行い、論文は英文査読雑誌であるデモクラティザーツィアに投稿した。投稿した論文は平成22年3月に掲載可の通知を受け取り、平成22年5月に出版される予定である。 そして、ソ連邦末期の民族問題に直接的な原因を持つ非承認国家にかんする問題についても研究した。研究報告は第1回トランスボーダー研究会で行い、論文は書籍『グローバル秩序という視点』の一章として平成22年3月に発表された。
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