2009 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性イオンチャネルの電位センサーの位置の研究
Project/Area Number |
08J01720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
名倉 仁 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオンチャネル |
Research Abstract |
昨年までの研究により、T110同士の結合が強く示唆されていたが、依然としてT110に導入されたシステイン及びヒスチジンが、使用している培養細胞由来のタンパク質と相互作用することで電流の減衰を見せているという可能性を完全に否定できていなかった。この問題の解決のために、本来4量体を形成して機能しているNaChBacを適切なリンカー配列で繋いで、複数の6回膜貫通ドメインを繰り返し持つNaChBacの多量体型チャネルタンパク質を構築することを試み、作成した多量体型チャネルの電流を測定することでT110に導入されたシステインの挙動を更に詳細に解析した。 いくつかの4量体型チャネルの挙動を解析した結果、特定のサブユニットの電位センサーにシステイン変異を導入した場合のみに電流の減衰が認められた。また、4つ繋いだサブユニットのうち、単一のサブユニットにのみシステイン変異を導入しても電流の減衰は認められなかった。これらの多量体型チャネルの解析はT110C変異体の電流減衰が外部の分子との相互作用によってもたらされる可能性を否定し、T110に導入したシステインがチャネル内で結合を形成している証拠となる。更に、導入されたシステインは4量体チャネルの中で特定の電位センサーに導入されたシステインとしか結合を形成できないであろう事も確認できる。また、今回の結果により、6回膜貫通ドメインを複数持っているチャネルがどのような順番でフォールディングしてチャネルを形成しているのかという問題についても考察を加えた。
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