2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒抽出法および酸化還元反応による106番元素シーボーギウムの化学的性質の研究
Project/Area Number |
08J01829
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大江 一弘 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超重元素化学 / シーボーギウム / 溶媒抽出 / 酸化還元反応 / マイクロ化学チップ |
Research Abstract |
106番元素シーボーギウム(Sg)の化学実験に向けた基礎データの収集のため、Sgと同族であるモリブデン(Mo)およびタングステン(W)の溶媒抽出実験を行った。Mo、Wは中性から酸性溶液中でポリ酸を形成するが、Sgはその生成率の小ささからポリ酸を形成し得ないため、単核Mo、Wの溶媒抽出挙動を調べる必要かおる。今回は、ポリ酸を形成しないと期待される極低濃度での実験を行うため、大阪大学核物理研究センターおよび理化学研究所のAVFサイクロトロンを用いて核反応により合成した短寿命のMo、W同位体を用いた。この実験では、水相に塩酸を、有機相に0.05M塩化テトラフェニルアルソニウム-クロロホルムまたは0.05M Aliquat 336-クロロホルム溶液を用いた。その結果、Mo、Wとも塩酸濃度が高くなるにつれ分配比が大きくなり、陰イオンの塩化物錯体が生成していることがわかった。また、Mo、Wの分配比の抽出剤濃度依存性を調べたところ、抽出されている化学種の電荷が-1であることが示された。今後さらに抽出されている化学種特定のための実験を行う予定である。 また、Sgの酸化還元反応に向け、マイクロ化学チップに電極を組み込んだ電極マイクロチップの開発を行った。電極マイクロチップはフォトリソグラフィーとウェットエッチング法により自作した。流路幅1mm、深さ17μm、作用電極長4.5cm、作用電極および対電極を金、参照電極を銀擬似参照電極としたものを作製し、トレーサー量のセリウム(Ce)を用いて電解酸化効率を求めたところ、流速5μm/minで75%の酸化効率を得た。現在流路幅を広げる等の改良により、酸化還元効率の向上を行っている。
|