2008 Fiscal Year Annual Research Report
Rhoファミリー低分子量G蛋白質を制御する新たな活性調節因子の同定とその機能解析
Project/Area Number |
08J01911
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山木 菜央 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究院(DC1)
|
Keywords | シグナル伝達 / 細胞運動 / がん / 細胞生物 |
Research Abstract |
細胞運動は、発生過程における胚形成や形態形成にみられる現象だけではなく、創傷治癒や免疫応答、がん転移におけるがん細胞の浸潤といった病理的過程にも重要な役割をもつ。特にがん細胞の浸潤・転移は、がんの治療を困難にしている最大の要因であり、このがん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動の仕組みを解明し、その仕組みに関わる分子をターゲットとした治療法を確立することが望まれている。がん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動に関して、Rhoファミリーの低分子量G蛋白質の関与がこれまでにも数多く報告されている。RhoファミリーG蛋白質の活性化は、GDP-GTP交換反応を促進する様々なグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)によって制御されている。RhoファミリーG蛋白質の活性化は、GEFによるGDP-GTP交換反応の促進によって引き起こされるが、今回我々はRhoファミリーG蛋白質めひとっであるRhoGを活性化するGEFとして、Ephexinファミリーに属するEphexin4を新たに見いだした。Ephexin4を細胞内に過剰発現させるとRhoGは活性化され、RhoG特異的にみられる膜ラッフリング(dorsal ruffling)が形成された。また、ショートヘアピンRNAによりHeLa細胞における内在性のEphexin4をノックダウンさせると細胞運動は抑制され、ノックダウン細胞にEphexin4もしくは常時活性型RhoGを発現させることでそれは細胞運動の抑制が解除された。Ephexin4はEphA2、A4の両受容体に結合し、さらにEphA2をHeLa細胞に過剰発現させると細胞運動は促進されたが、Ephexin4をノックダウンにより抑制された。以上の結果から、Ephexin4はRhoGを活性化することで細胞運動を制御していると示唆される。さらに、Ephexin4の上流分子にはEphA受容体の関与が考えられる。
|