2009 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスコピック磁束挙動から展開する高温超伝導マグネット開発のための先進的研究
Project/Area Number |
08J01945
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東川 甲平 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高温超伝導線材 / 電流分布 / 交流損失 / 可視化 / 磁気顕微鏡 / 有限要素法 / マルチフィラメント / 接合 |
Research Abstract |
本研究は,特に次世代高温超伝導線材を対象として,その電磁現象を磁束挙動の観点から定量把握することにより,同線材を適用したマグネット化技術を開発することを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 1.走査型ホール素子顕微鏡システムを改良することにより,上記線材に交流通電した際の電流密度分布・電界分布・損失密度分布を時系列で可視化することに成功した。また,これらの実験結果が理論解析の観点からも定量的に妥当であることが確かめられた。マルチフィラメント模擬線材に対して測定を行った結果,フィラメント間の結合やフィラメントの断線が電磁現象に及ぼす影響が観測され,例えば断線フィラメントに関しては,電流の輸送に貢献できないばかりでなく,フィラメント内に誘起される遮蔽電流によって付加的な損失を発生することが示された。マグネットの励磁・減磁運転の際にはこのような変動する通電電流が線材に印加されるため,その際の電磁現象や熱的安定性を議論する上での基礎データが得られたと言える。 2.走査型ホール素子顕微鏡システムによって得られる2次元面電流密度分布と3次元有限要素法によって得られる数値解析を比較検討することにより,線材内の3次元的な電流密度分布を評価できることがわかった。銀拡散接合法による補修・接続線材に対して測定を行った結果,線材間の電流のやり取りは接合面で均一に行われ,単純に接合面積の増加が接合抵抗の低減につながることが示唆された。一方,大域的に見た接合抵抗の低減とは別に,補修線材では局所的な発熱に注意すべきであることがわかった。マグネットの規模やメンテナンスを考慮すると線材の接合技術の確立は不可欠であり,該当部の電磁現象や発熱の問題を把握することができたと言える。
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Research Products
(8 results)