2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・マイクロ操作技術を用いたDNA修復蛋白質の一分子解析
Project/Area Number |
08J02017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新田 英之 Osaka University, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Rad51 / DNA修復 / 磁気ピンセット / ナノ・マイクロ操作技術 / 一分子解析 |
Research Abstract |
本研究の目的はRad51蛋白質に代表されるDNA修復酵素がDNAと重合する際におこる機械的挙動を一分子単位で計測することにより、機械的挙動や消費エネルギーなどのパラメタを計測し、DNA修復過程の解明を目指すことである。これまで測定可能であったDNAの伸長方向への挙動だけでなく、回転方向の挙動を測定する測定機器を製作することにより、一分子レヴェルでの挙動を高感度で検出することに成功した。 DNAをねじる際に生じるトルクを付着させたマイクロビーズの振動から測定した結果約15pN・nmであることがわかった。その値はDNAの2重螺旋をほどくために必要とされる機械的トルクそ計測した先行研究の値と比較するとやや大きな値となり、DNAの2重螺旋ほどくのに十分な値であり、生物学的にも納得のいく値となった。ただし実験セットアップにみられる残留磁界などの影響による大きな誤差が予測されるため、さらなる精度向上が求められる。 また回転運動時にみられるステッピング運度の解析を行った。ステップの大きさを正確に求めるため、実験をくりかえし、より多くのステップのデータを集めた。Pairwise analysisやフーリエ解析や、近年Svodobaらにより提案された解析法を用い、一分子がDNAをねじる角度は65度であるという正確な値を算出することに成功した。この値は結晶解析などの研究から予測されていた30度から75度の範囲内であり、先行研究と照らし合わせて納得のいく値であった。またこの値から、蛋白質1つにつきDNAの塩基対3.5に相当するstoichiometryを算出することができた。この値も先行研究と照らし合わせて納得のいく値であった。 現在これらの成果と、成果の生物学的重要性をもとに論文を執筆し、投稿する予定である。
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