2008 Fiscal Year Annual Research Report
bHLH型転写因子Ptf1aの神経発生における役割と下流遺伝子の探索
Project/Area Number |
08J02065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真弓 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経発生 / 転写因子 / Ptf1a / Math1 / 小脳 / 後脳 / マイクロアレイ / 菱脳唇 |
Research Abstract |
本研究では、転写因子Ptf1aが神経系の発生に果たす役割について総合的に理解し、Math1など他の転写因子について得られている知見と合わせることによって、「転写因子群が神経細胞の多様性獲得に果たす役割」の解明に貢献することを、最終目的としている。そこで、本年度は以下の研究を行った。 Ptf1a,Math1の小脳神経発生における役割の解明 小脳神経発生におけるPtf1a,Math1の役割を調べるために、Ptf1aの遺伝子座にMath1遺伝子をノックインしたマウスを作製した。最初に、本来Ptf1aを発現する小脳脳室帯でMath1が異所的に発現しているかを確認したところ、Ptf1a-Math1ノックインマウスでは小脳脳室帯において異所性のMath1発現が観察された。そこで、Math1の役割を調べるために、Ptf1a-Cre/Math1;ROSA26R-loxP-lacZマウスを作製した。そして、このマウスにおいて、Ptf1aプロモーター活性がある細胞とその子孫細胞でlacZ染色(X-gal発色)することによって、異所性Math1陽性神経上皮由来の神経細胞を同定した。その結果、異所性Math1陽性細胞からは小脳のほとんどすべてのグルタミン酸作動性神経細胞が生み出されることが分かつた。このことから、小脳におけるMath1の役割は、本来グルタミン酸作動性神経細胞を生み出す領域、菱脳唇のアイデンティティを決定することではないかということが示唆された。 小脳におけるPtf1aの下流遺伝子の探索 野生型およびPtf1aヌル変異体の胎生11日、12日、14日、15日のマウス胚から小脳原基を取り出して、そこからRNAを抽出し、cDNA合成を行ったあと、cDNAマイクロアレイにかけ、両者の遺伝型によって発現の異なる遺伝子群をスクリーニングした。現在これらのデータを統計的に処理し、候補遺伝子を選択中である。今後は、こうして得られた候補遺伝子群について、in situハイブリダイゼーションや抗体染色などによって、発生途上の小脳原基における発現様式について調べる予定である。
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